コンポスト用脱臭材及び有機質資材としての廃白土の有効利用


[要約]
食用油精製過程で発生する廃白土は、アンモニアを吸着できる。吸着したアンモニアは窒素源として微生物に利用されるため、アンモニア除去効果が持続する。アンモニアを吸着した廃白土は、高温発酵処理によって有機質資材として再利用できる。
大阪府立農林技術センター・環境部・環境保全室	
[連絡先] 0729-58-6551
[部会名] 流通利用
[専  門] 環境保全
[対  象]
[分  類] 普及

[背景・ねらい]
 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律及び家畜排泄物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律の施行をひかえ、コンポスト施設を導入する農家や企業が増えている。コンポスト処理では大量のアンモニアが発生するため、安価な悪臭防止技術の開発が求められている。そこで、食用油脂精製過程で発生する使用済み活性白土(廃白土)をアンモニア吸着材として利用し、有機質資材化する方法について検討し、環境保全と資源循環技術の両立をねらう。

[成果の内容・特徴]

  1. 廃白土は硫酸を含有するため、アンモニア吸着材として用いられているおが屑より吸着容量に優れる(表1)。
  2. 廃白土は炭素源として油脂を含有するため (40%)、吸着したアンモニアを窒素源として微生物が利用し、アンモニア除去効果がおが屑と比べて約 400 倍持続する(図 1)。
  3. アンモニアを吸着した廃白土は、炭素源と窒素源を十分含有するため、水分調整するだけで 60℃以上の高温発酵処理ができる(図2)。
  4. アンモニアを吸着した廃白土の発酵処理物は、pH 5.8、有機物含量 50%、窒素 0.3%、リン 0.01 % 及びカリ 0.2% 含有し、発芽阻害がなく(発芽率 97.3%)、有機質資材として再利用できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. コンポストから発生するアンモニアを防止する技術として利用できる。
  2. 廃白土の有効利用技術として資源循環に貢献できる。
  3. 食品製造副産物の農業利用技術として活用できる。
  4. 廃白土には特有の臭気があるため、高濃度のアンモニアを含むコンポスト排気の処理に限り用いる。

[その他]
研究課題名:環境保全のための脱臭材の開発
予算区分  :受託研究事業(府費)
研究期間  :平成12年度(平成12年)
研究担当者:森 達摩、宮崎昭雄
発表論文等:特許出願 特願2000-350171「脱臭材及びその処理法」

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