肥育中期以降の粗飼料給与レベルが黒毛和種去勢牛の増体と肉質に及ぼす影響


[要約]
黒毛和種去勢肥育牛の産肉性向上には、給与飼料全体に占める粗飼料のTDN割合を肥育中期で15%、後期で10%とする粗飼料給与レベルが最も適している。
兵庫県立中央農業技術センター・畜産試験場・家畜部        
[連絡先]0790-47-1117
[部会名]畜産       
[専  門]飼育管理   
[対  象]肉用牛   
[分  類]指導

[背景・ねらい]
 黒毛和種肥育牛では肥育前期には良質な粗飼料給与が必要であり、粗飼料からのTDN給与割合は30%程度が適当と考えられている。しかし、肥育中期以降(16か月齢以降)の粗飼料給与レベルは検討されていない。そこで、同一父牛の産子である去勢牛12頭を用い、肥育中期以降の粗飼料給与レベルが黒毛和種去勢肥育牛の増体と肉質に及ぼす影響を調べた。

[成果の内容・特徴]

  1. 増体量と枝肉重量は高粗飼料区が他に比べ低い傾向を示した。ロース芯面積は中粗飼料区が大きい傾向を示した(表1)。
  2. 低粗飼料区のロース芯は4頭とも変形していた(写真1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 粗飼料の給与レベルにより3区を設定し、全飼料中粗飼料からのTDN給与割合を肥育中期(16-22か月齢)と肥育後期(23-30か月齢)で高粗飼料区:20-15%、中粗飼料区:15-10%、低粗飼料区:10-5%とした。粗飼料はイナワラのみを給与した。濃厚飼料は肥育中期用(TDN:72.4%、粗蛋白質:15.3%)と後期用(TDN:73.0%、粗蛋白質:13.3%)を給与した。
  2. 肥育中期以降に粗飼料の給与量を極端に少なくすると増体は良くなるが、ロース芯が変形する。逆に粗飼料を高レベル給与すると増体量が低下する。
  3. 供試牛は兵庫県産の黒毛和種であり、他県産で増体性が大きく異なるものについては適さない場合がある。

[その他]
研究課題名:但馬牛における脂質特性とその制御法の検討
予算区分  :県単
研究期間  :平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:岡章生、岩木史之、道後泰治、太田垣進(兵庫中農技セ)
発表論文等:兵庫県立中央農業技術センター研究報告第37号(掲載予定)

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