ビタミンCの飼料添加が肥育牛の肉質に与える効果


[要約]
黒毛和種去勢牛の肥育中期に体重1s当たり40mg/日のビタミンCを飼料に添加し無添加の区と比較すると、増体成績には差が認められないが、枝肉成績は脂肪交雑、肉の光沢・締まり・きめについて優れる。
京都府碇高原総合牧場・家畜部
[連絡先]0772-76-1121
[部会名]畜産
[専  門]飼育管理
[対  象]肉用牛
[分  類]研 究

[背景・ねらい]
 「京都肉」の生産を拡大し安定供給するためには、肉質向上技術の開発が必要である。近年、培養試験において、ビタミンCが牛の脂肪前駆細胞から脂肪細胞への分化を促進することが証明された。そこで、黒毛和種去勢牛の肥育において、脂肪細胞への分化が最も多い中期にビタミンCを飼料に添加し、肉質に与える効果を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 肥育期間(8〜28ヵ月齢)を前期(8〜12ヵ月齢)、中期(12〜24ヵ月齢)及び後期(24〜28ヵ月齢)に分け、ビタミンC添加区及び対照区を各区4頭ずつ設定し、中期に添加区に対して体重1s当たり40mg/日のビタミンCを飼料に添加する。
  2. 中期の後半で添加区の飼料摂取量が対照区と比較して減少し、ビタミンC添加による食欲の低下が認められるが、全期間ではほとんど差は認められない(表1)。
  3. 増体成績は、終了時体重については添加区695.8sで対照区699.0s、通算DGについては添加区0.76sで対照区0.77sと区間の差は認められない(表2)。
  4. 枝肉成績は、枝肉重量に差は認められないが、脂肪交雑、肉の光沢・締まり・きめについては、添加区が対照区より有意に優れる。また、ロース芯面積、バラ厚、皮下脂肪厚及び歩留基準値については、添加区が対照区より若干大きいが、有意差は認められない(表3)。

[成果の活用面・留意点]

    ビタミンCを飼料に添加すると飼料摂取量が低下する場合があるので、注意すること。

[その他]
研究課題名:高級牛肉「京都肉」の合理的生産技術の確立
予算区分  :国補
研究期間  :平成12年度(平成10〜12年)
研究担当者:松下厚志、森下賀之
発表論文等:日本畜産学会第98回大会発表予定

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