受精卵クローン4つ子の肥育成績と相似性
- [要約]
- 体内受精由来ドナー胚のクローン胚から誕生した1卵性4つ子(雌)を肥育した。4頭のDNAタイピングは完全に一致した。鼻紋、旋毛、性格、飼料摂取量、体重等の推移、血液性状、枝肉状況等に相似性を認めた。
山口県畜産試験場・改良増殖部・改良繁殖グループ
[連絡先]0837-52-0258
[部会名]畜産
[専 門]生理
[対 象]肉用牛
[分 類]研究
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[背景・ねらい]
- 核移植によるクローン牛の肥育成績についての報告は少ない。そこで、場内で作出した体内受精由来ドナー胚の受精卵クローン牛雌4頭を17ヶ月間肥育し、発育性、飼料摂取量、血液性状、枝肉状況等を調査した。
[成果の内容・特徴]
- 体内受精由来ドナー胚のクローン新鮮胚を5頭に移植し4頭が受胎、平成10年2月、1卵性4つ子のクローン牛(雌)が誕生した。17ヶ月肥育(目標DG0.73)を目標に、平成11年4月9日から肥育を開始(427〜434日齢、個体識別給餌器付牛房で群飼育)し、平成12年9月13日(946〜950日齢)に全頭を出荷した。
- 個体識別マーカー(22個)によるDNAタイピング結果は完全に一致した。また、鼻紋は4頭とも中央の最底から放射状に紋が配列し、半羽脈状であった(図1)。旋毛は面旋、眉旋、背旋の主要3部位が一致、項旋等8部位については概ね一致していた。
- 飼料摂取量は概ね同量(表1)、出荷直前に体重低下が1頭(3)にみられたが、体重や体高等の推移は概ね同様に、血液性状の推移も同様の動きをする項目を多く確認した。
- 枝肉成績は脂肪交雑がBMSbナ7、8、9、9、ロース芯面積が46、50、58、62cm2 と若干のばらつきが認められたものの、ロース芯の形状やサシの部位等は類似していた(図2)。第6〜7肋骨間胸最長筋の理化学的特性では、pHは5.54、5.57、5.60、5.62で、粗脂肪含量は17.7、18.0、18.3、18.9%とほぼ同一であり、脂肪酸組成は相似性が高かった(表2)。
[成果の活用面・留意点]
山口県畜産試験場で誕生し、肥育された受精卵クローン牛4頭については、相似性が高く、今後のクローン検定の有用性を確認した。
[その他]
研究課題名:クローン牛の発育・相似性の確認
予算区分 :県単
研究期間 :平成12年度(平成11〜12年)
研究担当者:古澤 剛、西村隆光
発表論文等:
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