[成果情報名]

着色期の土壌乾燥処理によるブドウ「ピオーネ」の着色向上

[要約]ブドウ「ピオーネ」における7月上旬以降の着色期の土壌乾燥処理(pF3.3でかん水)は、果実の着色を向上させ、収穫時期をやや早める。処理による枝の生育に対する影響はほとんど認められず、着色向上対策として有効である。
[キーワード]ブドウ、ピオーネ、着色、土壌乾燥処理
[担当]兵庫中央農技セ・園芸部
[連絡先]0790-47-2424
[区分]近畿中国四国農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 ブドウの四倍体品種は樹勢が旺盛で、短梢せん定による栽培ではさらに強樹勢となり、着色不良などの品質低下を招きやすい。また、西南暖地に位置する地域では、果実着色期の夜温が高いため、着色不良や糖度不足等の品質面での問題を抱えている。そこで、これらの問題を解決するため、着色期の土壌水分ストレスが果実品質に及ぼす影響を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 無加温ハウス内の17年生「ピオーネ」(H型整枝、短梢せん定、栽植距離10m×4m、各区4樹)を用い、着色期である7月上旬から収穫期までの約50日間、土壌乾燥処理(pF3.3になった時点で1回当たり約30mmかん水)を行う。かん水間隔は天候により年次変動があるが、2001年では乾燥区が約20日(処理期間中に2回かん水)で、pF1.5でかん水する湿潤区は4〜10日(処理期間中に5回でかん水)である(図1)。
  2. 着色期に土壌を乾燥処理すると、果房重、果粒重はわずかに劣るものの、着色が明らかに向上し、糖度もやや高く、平均収穫日が2〜5日早まる(表1)。
  3. 土壌乾燥処理した果実は、十分にかん水した果実に比べて早い時期から糖度が上昇し、酸含量が低下する(図2)。
  4. 土壌乾燥による結果枝の生育への影響は、かん水直前に元葉に軽い葉焼け症状がでるものの、処理当年の枝長、枝径等には差が認められない(図表略)。また、2年間着色期に乾燥処理を行った場合でも、処理翌年の花穂数、枝の生育に大きな差がなく、樹体への悪影響は認められない(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 土壌乾燥処理した果実は日中の高温時に収穫せず、果実温の低い早朝に収穫を行う。
  2. 本成果は施設栽培で適用可能で、今後、露地(雨よけ)栽培での活用方法を検討する。

[具体的データ]

図1

表1

表2

図2


[その他]
研究課題名大粒系ブドウの品質向上対策
予算区分県単
研究期間1999〜2003年度
研究担当者福井謙一郎、浜田憲一、荒木 斉
発表論文等なし

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