[成果情報名]

電解水によるパイプラインミルカー洗浄・殺菌効果

[要約]強酸性電解水の殺菌効果を次亜塩素酸ソーダ水と比較した。生乳の希釈倍率が10倍の時は次亜塩素酸ソーダ水と比較して殺菌効果が劣る。100倍希釈では次亜塩素酸ソーダ水と同等の殺菌効果がある。強アルカリ電解水の生乳に対する洗浄効果をアルカリ洗剤と比較して、単独では同等の洗浄効果は得られない。
[キーワード]電解機能水、強酸性水、強アルカリ水、パイプライン、洗浄、殺菌
[担当]岡山総畜セ・大家畜部・酪農科
[連絡先]0867-27-3321
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 健康で安全な食品を求める消費者ニーズの高まりに伴い、乳質に対して細菌数、体細胞数などの衛生面での改善が求められている。
 最近、微生物に対して殺菌効果を有する電解機能水が、農業・食品加工・医療の分野で注目されている。電解水には、洗浄・殺菌・殺ウイルス等の効果があり、通常使用されている薬剤と異なり人間や家畜にほとんど無害であると共に、残留性が少ないので環境に放出されても安全性が高いなどの特徴がある(図1表1)。
 そこで、電解機能水を生乳の衛生管理に利用する可能性を検討した。

成果の内容・特徴]

  1. 強酸性電解水による殺菌効果
     生乳を、10倍、100倍、1000倍に希釈し、通常使用されている次亜塩素酸ソーダ水と強酸性水の殺菌効果を比較した。殺菌効果は、フィルム状乾燥培地を用いて、一般生菌数(35℃、48時間培養)、大腸菌数(35℃、24時間培養)を調査した。
     一般生菌数は、10倍希釈では、次亜塩素酸ソーダ水と比較して殺菌効果が劣るものの100倍、1000倍希釈では同等の殺菌効果がある。大腸菌群数は、次亜塩素酸ソーダ水と同等の殺菌効果を認める(表2)。
  2. 強アルカリ電解水による生乳の洗浄効果
     供試材料(ガラス板及びステンレス板)に生乳を滴下後、62℃の恒温器内で6時間放置し固着させ、各洗浄液(強アルカリ水、アルカリ洗剤、蒸留水)100mlで洗浄(65℃、3分、250rpm)後、洗浄率を測定した。
     ステンレス板において、強アルカリ水単独では、通常使用しているアルカリ洗剤0.5%の洗浄効果は得られない。強アルカリ水にアルカリ洗剤を加えた試験については、ガラス板ではアルカリ洗剤と同等の洗浄効果が得られるが、ステンレス板では洗浄効果がやや劣る(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 殺菌剤としては利用可能性があるが、洗浄剤として使用するには検討が必要である。
  2. 有機物を多く含む場合は強酸性水の殺菌効果が減少するため、十分な洗浄が必要である。(表2
  3. 強酸性水には腐食性があるため、使用後長期間放置しておくとさび等が発生する。
  4. 強酸性水の他の利用法(牛舎、牛体洗浄等)も検討する必要がある。

[具体的データ]

図1

表1

表2

表3


[その他]
研究課題名電解水によるパイプラインミルカー洗浄・消毒法の検討
予算区分県単
研究期間2000年度
研究担当者秋山俊彦
発表論文等

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