[成果情報名]

温風乾燥処理したブルーギルの飼料化

[要約]温風乾燥処理した捕獲外来魚(ブルーギル)を配合飼料に添加し、市販魚粉と比較した。豚では嗜好性に欠け肥育期間が約1カ月延びたが、採卵鶏ではやや卵重が小さくなる傾向があるが、嗜好性に問題はなく、配合飼料の原料として利用可能である。
[キーワード]飼育管理、捕獲外来魚、ブルーギル、飼料化、肥育豚、採卵鶏
[担当]滋賀農総セ・畜産技術振興センター・バイテク環境担当
[連絡先]0748ー52ー1221
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 琵琶湖では外来魚、特にブルーギルが異常繁殖して、水産上有用な魚介類の捕食や生態系への影響がでていることから、駆除が行われている(300t/年)。また、これを地域資源の一つとして利活用を図り循環型社会の構築に向けた取り組みが求められている。畜産分野における魚粕類は粗蛋白質含量が高く、カルシウムおよびリンを多く含むことから、養豚・養鶏用配合飼料の原料として、欠くことのできない重要な飼料となっている。そこで、ブルーギルを温風乾燥処理し、肥育豚と採卵鶏への給与効果について検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 魚粉の一般成分を比較すると、業務用生ゴミ処理機(MS-N120G:松下電器産業kk製)で温風乾燥処理したブルーギル魚粉は処理温度(130℃,100℃)の違いにかかわらず市販魚粉に比べ、粗脂肪が約5%高い値を示し、逆に粗灰分およびカルシウムでは約5%および約2%低い値を示した。他の分析結果においては差は認めない(表1)。
  2. 130℃で処理したブルーギル魚粉のビタミンEおよびタウリンの含有量、含有率は共に高い値を示す(表1)が、アミノ酸組成では各アミノ酸の含有量に差は認められない。
  3. 微生物汚染状況は、いずれの魚粉も大腸菌群、サルモネラともに陰性であった。一般生菌数は市販の魚粉とに差を認めない(表1)。
  4. 魚粉の長期保存性を調べるため、過酸化物価を測定したところ、市販魚粉ではほとんど変化が見られないが、ブルーギル魚粉では処理直後、約8.5meq/kgから5カ月後、約15.3meq/kgと上昇し、脂肪の酸化が認められる(表1)。
  5. 豚における飼養試験(5%魚粉飼料添加)では、ブルーギル魚粉区は嗜好性に欠けた(図1)。その結果、市販魚粉区に較べ肥育成績は約1カ月程度遅れた(図2)。
  6. 採卵鶏における飼養試験では、両試験区の飼料摂取量に差はない。ブルーギル魚粉区では卵重がやや小さくなり、卵黄色が濃くなる傾向があるが、他の項目においては差を認めず、配合飼料の原料として利用可能である(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. ブルーギル魚粉は市販魚粉に較べ粗脂肪が高く、また、ふるいで骨とヒレを除去するため粗灰分およびカルシウム含量が少なくなる。
  2. ブルーギル魚粉は処理後、早期に利用するか、抗酸化剤の利用を検討する必要がある。
  3. ブルーギル魚粉の添加により豚では嗜好性が劣るため、配合割合に配慮する。採卵鶏では10%添加まで利用可能である。

[具体的データ]

表1

図1

図2

表2


[その他]
研究課題名捕獲外来魚の飼料化の検討
予算区分県単
研究期間2000年度
究担当者村田昌稔、松山高博、渡辺千春、藤田耕
発表論文等

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