[成果情報名]

酸化チタンの担持体による家畜尿処理水の脱色

[要約]茶褐色を呈する家畜尿処理水の脱色を目的として、粒状に加工したポリオレフィン担持酸化チタンを用いて検討した結果、家畜尿処理水の脱色に有効であるとともにpHを酸性に下げることなどで一層効果があがることが認められる。
[キーワード]環境制御、酸化チタン、光、家畜尿汚水、脱色
[担当]岡山総畜セ・飼料環境部・環境衛生科
[連絡先]0867-27-3321
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 繊維業界や畜産関係の脱色などに利用が検討されている酸化チタンは、粉末のため回収が困難なことから、回収しやすい小粒状に加工したポリオレフィン担持酸化チタンを用いて脱色能力を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 牛尿処理水を用いて、ブラックライトで紫外線を照射した時の担持酸化チタンの脱色性能を調査した。粉末酸化チタンと担持酸化チタンの比較試験を行うとともに、担持酸化チタンの性能調査として流速及びpHの脱色への影響を調査した。
  2. 粉末との比較試験は、太陽光等の影響を受けない暗室内で400Wブラックライトを照射した三角フラスコに、茶褐色を呈する牛尿処理水(0.5L、pH8.37、COD154mg/L)を注入して行った。試験区は粉末酸化チタン(1区)、担持酸化チタン(2区)、及び対照区(3区)を設けて経時的な脱色率の変化を調査した。66時間後の脱色率は1区91%、2区92%、3区41%となったことから、粉末酸化チタンと同等の脱色性能が認められる(図1)。
  3. 担持酸化チタンを用いた固定床方式による酸化チタン反応室内実験装置(20Wブラックライト5本照射)において、牛尿処理水(2L、pH9.58、COD503mg/L)を用いてpHと流速の影響を調査した(表2)。8時間後の脱色率は1区67.6%、2区37.0%、3区61.4%、4区30.9%である(図2)。このようにpHは5に比べ3が、流速では10L/hrに比べ20L/hrで脱色率が高い。これは流速を高めることで汚水の酸化チタンへの接触面積が拡大したこと、また、pHを下げることにより着色原因物質の分解が促進されたことによると考えられる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 畜産排水は、活性汚泥法等生物処理を行った処理水でも茶褐色を呈していることから、汚水処理の2次処理としてポリオレフィン担持酸化チタン脱色装置の活用が可能である。
  2. 実験室レベルでの脱色は可能であったが、今後は、実規模での脱色性能の確保に関する点とコストの課題が残されている。

[具体的データ]

表1

図1

表2

図2


[その他]
研究課題名酸化チタンを用いた家畜尿等の浄化処理水の脱色について
予算区分県単(受託)
研究期間2000年度
研究担当者脇本進行、古川陽一
発表論文等脇本ら(2001)岡山県総合畜産センター研究報告 12:75-78

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