[成果情報名]

ウドの露地軟化秋穫り栽培

[要約]栽植後2年目以降の株を用い、4月の萌芽後、伸長した茎葉を8月下旬〜9月上旬に伐採し、刈り株をトタン板等で囲み、もみがらを詰めて20〜30日軟化処理を行うことで、9月下旬〜11月下旬に「寒ウド」として2〜3回収穫できる。
[キ−ワ−ド]ウド、軟化処理、秋穫り、伐採、もみがら
[担当]滋賀県農総セ・農試・湖北分場
[連絡先]0749‐82‐2079
[区分]近畿中国四国農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 ウドは、需要の多い山菜の一つで、一般的に秋冬の休眠期を経て、翌春に収穫する。栽培には休眠打破、株の堀り上げと軟化施設への移植が必要で、これらの作業に多大な労力を要する。一方、「寒ウド」は不時萌芽の特性を有している。そこで、この特性を活かした簡易な露地軟化秋穫り栽培技術を確立する。     

[成果の内容・特徴]

  1. 4月に萌芽し伸長した茎葉を6月上旬までに株当たり3本程度に間引き、その後に伸長した茎を8月下旬〜9月上旬に伐採して、軟化処理を行う。処理時期を早めて8月中旬までに行うと、軟化資材内が高温のため新芽の腐敗が多くなり、上中物率が低下する(表1)。
  2. 軟化処理は、伐採した刈り株上をトタン板で囲い、充填資材としてもみがらを深さ30cm程度に詰めて、20〜30日程度行う。収穫適期は、処理開始後に萌芽した茎が、もみがら上15〜20cmに伸長した時期とする。軟化部は30cm、緑化部15〜20cmとなる(図1)。
  3. 軟化期間は9月下旬〜11月下旬で、この期間中に2〜3回収穫できる。収量は1株当たり約1.5kgである(表2)。                             

[成果の活用面・留意点]

  1. 軟化に使用する囲いは、トタン板以外に肥料袋や黒ビニ−ル等、遮光、保温効果の高いものが使用できるが、充填資材としては、断熱、保温および資材内への雨水浸透防止効果の優れたもみがらが適する。                 
  2. 栽植1年目は株を養成するため、苗(根株)定植後、9月に花芽を摘み取るほかは放任とし、収穫は行わない。連作が可能であるが、株の衰弱を考慮し、3年に1回は株を更新する。    
  3. 「寒ウド」は、春ウドに比べ茎が細いので調理がしやすく、ウド独特のアクや香りも弱いので、食べやすいといった利点を活かし、産直販売するとよい。                                                                       

[具体的デ−タ]

表1

図1

表2


  
[その他]
研究課題名中山間地における特産作物の安定生産技術
予算区分県単
研究期間1994〜2001年度
研究担当者川村藤夫(1994〜1996)、山中成元(1997〜2001)
発表論文等山中・川村(2001)滋賀県農林水産主要試験研究成果第9号:23-24

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