[成果情報名]

出芽安定のための大豆種子水分の大量調整法

[要約] 播種前に種子重量の1〜2%の水を加えてから水稲用育苗箱に詰めて積み重ねることで、簡便かつ大量に、大豆の出芽率ならびに出芽揃いを高めるための種子水分の調整ができる。
[キーワード]ダイズ、種子水分、出芽率、出芽揃い
[担当]兵庫農総セ・農技・作物部
[連絡先]0790-47-2410 E-mail Akihiro_Ushio@pref.hyogo.jp
[区分]近畿中国四国農業・作物生産(夏作)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 発芽勢を高めて出芽時の湿害を避けたり、出芽揃いを良くして初期生育を旺盛にすることによって雑草の発生を抑制するために、あらかじめ種子水分を15%程度に調整しておく方法が知られているが、その調整方法は比較的少量のものに対応しているに過ぎない。そこで、大量の種子を扱う現場向けに、簡便かつ大量に水分調整する方法を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. ダイズ種子10kgに対して水100〜200gを、大容量の平型容器に殺菌剤や忌避剤と同時に加え、すばやく均一に撹拌する。目標とする水分含有率は15%以下なので、加水前の種子水分が高い場合は、加水量を少なめにしておく。
  2. 撹拌した種子を、おおよそ4〜4.5L(種子水分15%で約3.1〜3.5kg)ごとに水稲用育苗箱に均一に広げる。
  3. 種子の入った育苗箱を冷暗所に積み上げ、防水シートで覆って、水分の蒸発を防ぎながら保存する。
  4. 保存期間は、冷暗所であれば2週間程度経過しても問題ない(図3)。
  5. 大豆種子の風乾重に対して1〜2%の水を加えて、種子水分を1〜2%程度高めるだけで、発芽に最適な種子水分といわれている15%に至らなくても、十分に発芽能力が高まる(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 殺菌剤や忌避剤を同時に加えると、保存時の雑菌の繁殖を抑える効果も期待できる。
  2. 種子水分調整時に生じた裂皮粒、割れ粒等を取り除けば、発芽率はさらに高まる。
  3. 播種時に土壌が乾燥している場合は、適湿な条件よりも出芽が遅れるが、種子水分の調整効果に変わりはない。

[具体的データ]





[その他]
研究課題名ダイズの不耕起狭条無中耕無培土栽培の開発
予算区分県単
研究期間2001〜2003年
研究担当者牛尾昭浩、須藤健一

目次へ戻る