[成果情報名]

生産者減収許容水準からみたハクサイ根こぶ病の防除技術の導入分岐点

[要約] 生産者は根こぶ病によるハクサイの減収が15%以下であれば許容することができ、また、収量と根こぶ病発病度との関係から、減収許容水準の発病度は50前後であり、新しい防除技術を導入する場合の分岐点である。
[キーワード] ハクサイ、根こぶ病、減収許容水準
[担当] 兵庫農技総セ・農業技セ・病害虫防除部
[連絡先] 電話 0790-47-1222、電子メールMasataka_Aino@pref.hyogo.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 根こぶ病においては、その発病程度と被害との関係が判然とせず、開発した防除技術が生産者に受け入れられ、普及するかどうかの判断が困難であった。特に生物的防除においてその判断の分岐点が重要である。そこで、根こぶ病の発病と減収との関係を調べ、生産者の意識調査を行い、防除技術導入の可否の判断基準を作成する。

[成果の内容・特徴]

  1. 根こぶ病菌のハクサイ収量に及ぼす影響を三原郡三原町、南淡町の一般栽培農家圃場で5年間にわたり、のべ18圃場において試験を行い、収量(総重量)と発病度(発病度=(A×100+B×60+C×30+D×10)/調査株数、 A:枯死または主根に形成されたこぶが腐敗消失、B:主根にこぶの形成が確認できる。C:側根に多量のこぶが確認できる。D:側根にこぶが確認できる。)との関係を求めると、Y=−0.0165X3+1.8835X2−66.501X+4552.21(R2=0.913)で表されるゆるやかなS字曲線に近似される。
  2. 生産者108人にアンケート調査した結果、50.9%の人から有効回答があり、4割まで減収しても経営的に成り立つとの意見があり、また、損益分岐点(地域農業経営ハンドブック)36%減収で、これを減収許容水準と設定する事も可能であるが、生産者の意見には生産者減収許容水準を1〜2割減収とするものが多く、便宜上生産者減収許容水準を15%前後に設定しても良いと考えられる。
  3. 本曲線を元に、生産者減収許容水準(約15%減収)の発病度を求めると50前後であり、新しい技術を導入する場合、根こぶ病の発病度を約50以下に抑制することができれば普及する可能性があり、導入可否判断の分岐点と考えられる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本情報は、兵庫県の年内取り及び1〜2月取りハクサイ産地で適応可能である。他地域及び作型については、さらに、検討を要する。
  2. 今後もデータ蓄積を行い、より精度の高い判断基準を作る必要がある。

[具体的データ]



[その他]
研究課題名臭化メチル代替新防除技術を核とした野菜類も持続的安定生産技術の確立
予算区分国庫(地域基幹農業技術体系実用化研究)
研究期間2000〜2003年度
研究担当者相野公孝、前川和正、神頭武嗣、西口真嗣

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