[成果情報名]

性フェロモントラップ誘殺数と気象要因に基づくハスモンヨトウ誘殺数の予察法

[要約] ハスモンヨトウ秋期誘殺数は性フェロモントラップデ−タと気象要因との重回帰分析により算出された第1世代から第3世代,第1世代から第4世代の世代間増殖率、6月の降水量、8月の平均気温をパラメ−タ−とした2つの回帰式により予測できる
[キーワード]ハスモンヨトウ、性フェロモントラップ、誘殺数、平均気温、降水量、重回帰分析、予測
[担当]広島農技セ・環境制御研究部
[連絡先]0824-29-2592、ngckanseigyo@pref.hiroshima.jp
[区分]近畿中国四国農業・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 性フェロモントラップを利用したハスモンヨトウの発生予察は、これまで、発生時期の予測は可能であったが,秋期誘殺数の予測は困難であった。そこで、1979〜2003年の性フェロモントラップ誘殺数データと気象デ−タを解析し、秋期の誘殺数予測法を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 東広島市八本松町で1979〜2003年の25年間、高さ150cmに設置したハスモンヨトウ性フェロモン箱形トラップにより4〜12月(半旬毎)に調査した誘殺数を用いる。
  2. 世代区分に使用するパラメーターは発育ゼロ点:10℃、1世代を628日度(中筋1975)とする。有効積算温量は、東広島AMEDAS調査地点の日最低気温・日最高気温・日平均気温を用い、法橋の方法(1971)により算出する。世代区分は初誘殺日を起点として、有効積算温量で区分し、各世代毎に世代誘殺数を算出する。
  3. 世代誘殺数に基づき第1世代(4〜7月上旬)から第3世代(8月中下旬〜9月中下旬)及び第4世代(9月中下旬以降)のそれぞれの世代間増殖率を目的変数とし、6〜8月の月平均気温、月降水量を説明変数として重回帰分析を行うと、第1世代から第3世代の増殖には6月の降水量が,第1世代から第4世代の増殖には8月の平均気温が関係する(表1)。このことから、次の2つの回帰式が得られる(図1,2)。
    Y1=0.03294X+0.04163  (R2=0.3153,n=25,p=0.0035,Y1:第3世代の誘殺数/第1世代の誘殺数, X:6月の降水量),
    Y=4.0515 X2−98.2976  (R2=0.3676,n=25,p=0.0013,Y2:第4世代の誘殺数/第1世代の誘殺数,X:8月の平均気温)
  4. 8月下旬の誘殺数が多いとダイズの被害が多くなる傾向にある(表2)。
  5. 以上のことから、6月の降水量と第1世代誘殺数から第3世代誘殺数を,8月の平均気温と第1世代誘殺数から第4世代誘殺数を予測することができる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果による計算と第2世代誘殺盛期(7月)から第3世代誘殺盛期の有効積算温量による予測と併せて、8月下旬以降のダイズ、野菜,花きのハスモンヨトウの発生予察に活用できる
[具体的データ]




[その他]
研究課題名病害虫発生予察等事業
予算区分国補
研究期間2001〜2003年度
研究担当者星野 滋

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