[成果情報名]

砂丘地ナガイモへの被覆尿素による全量基肥施肥法

[要約] 砂丘地ナガイモへの施肥は、稲わら施用とともに被覆尿素を利用することにより、施肥回数を慣行の11回から1回にすることができ、更に、施肥窒素量を3割削減できる。収穫したナガイモ重量と芋の変形などの障害発生程度は慣行並のものが得られる。
[キーワード]砂丘地、ナガイモ、被覆尿素、全量基肥、省力、施肥窒素量の削減
[担当]鳥取園試・野菜研究室
[連絡先]0858-37-4211、電子メールhayashiyoshi@pref.tottori.jp
[区分]近畿中国四国農業・生産環境(土壌・土木・気象)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 ナガイモは、鳥取県中部にある北条砂丘地の特産物である。しかし、砂畑の保肥力が小さく、栽培期間が長いことから収穫までの施肥回数が11回と労力を多く必要とし、施肥窒素量も40kg/10aと多く投入されている。現在、ナガイモ栽培農家が高齢化し、栽培面積が減少している中で、栽培面積を維持していくために、栽培管理の省力化が求められている。
 そこで、被覆尿素を用いた全量基肥施肥法によって、軽労的で環境保全型的な施肥法を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 被覆尿素肥料を用い、施肥窒素量を3割削減して、稲わらを500kg/10a程度投入することにより、施肥窒素全量を基肥に施用(以下、被覆尿素全量基肥という。)しても、芋重は慣行施肥並に得られる(表1図1)。
  2. 被覆尿素全量基肥の乾物生産量は、慣行施肥に比べ、茎葉では少ないが、芋では大差ない。10a当たり窒素吸収量でも、同様の傾向である(表1)。
  3. 被覆尿素全量基肥で栽培した芋の障害発生程度は、慣行程度である(表2)。
  4. 被覆尿素全量基肥の肥料代は、慣行より25%多く必要とするが、労賃が54%減少するため、肥料代と労賃を併せた経費は、慣行に対し17%の減少となる(表3)。
  5. 以上のことから、被覆尿素全量基肥施用技術は、砂丘地で栽培するナガイモの施肥の省力化および施肥窒素量の削減を図る技術として利用できる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 対象土壌は、砂丘未熟土で、作物はナガイモとする。 
  2. 有機物として、稲わらを500kg/10a程度投入する。
  3. 燐酸及び加里分は、慣行に対し3割削減して補う。
  4. スイカおよび他の作業との競合や高齢化などによる労力不足を補える。
[具体的データ]






[その他]
研究課題名農薬・化学肥料5割削減技術体系の確立
予算区分県単
研究期間1997~2003年度
研究担当者林 悦之
発表論文等林 悦之(2003)日本砂丘学会第50回全国大会pp12

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