[成果情報名]

リン吸着資材による藍藻類及び付着性藻類の発生抑制

[要約] リン吸着資材をため池モデル水槽内に添加することにより、水中の全リン濃度の上昇を抑制でき、その結果、藍藻類及び付着性藻類の発生も抑制することができる。
[キーワード]富栄養化、アオコ発生抑制、リン吸着資材
[担当]大阪食とみどり技セ・みどり環境部・水質環境グループ
[連絡先]電話0729-58-6551、電子メールyabuki@afr.pref.osaka.jp
[区分]近畿中国四国農業・生産環境(土壌・土木・気象)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 ため池における富栄養化は深刻で、頻繁にアオコ等の大量発生を引き起こす原因となっている。アオコ等の大量発生により、周辺住民の生活環境を悪化させる等の問題が発生しており、効果的な富栄養化防止及びアオコ発生抑制技術の開発が求められている。水質汚濁物質の中でリンは藻類の成長にとって重要な栄養素の1つであり、藻類の発生抑制にはリンの除去が有効であると考えられる。
 今回の試験では、リン吸着資材による藻類発生抑制効果を調べることをねらいとする。

[成果の内容・特徴]

  1. ため池をモデルとした10L容水槽を用いて60日間試験を行う。水槽の中にホンモロコ(Gnathopogon caerulescens)を飼育し、餌料(リン含有率0.63 %、窒素含有率5.8 %)を1日あたり0.16 gの割合で与え、汚濁負荷をかける。リン吸着資材を添加(100g/10L、添加区)することにより、対照区と比較して試験水中の全リン濃度の上昇を抑制することができる(図1)。
  2. リン吸着資材の添加により、藍藻類(Microcystis属)の増殖(検鏡と吸光度660 nm測定)を抑制することができる(図2)。
  3. リン吸着資材の添加により、水槽壁面の付着性藻類の増殖を抑制することができる(図3〜4)。
  4. リン吸着資材のリン吸着量は、0.196 r/gである。

[成果の活用面・留意点]

  1. カルシウムや鉄と反応し不溶解性ハイドロキシアパタイトを生成することによってリンを吸着できる性質を持つ資材であれば、同様の効果が期待できる。
  2. ため池等農業用水(リン濃度0.1mg/L)10Lへの資材の投入量は、リン吸着量から算出すると6gとなる。
[具体的データ]



[その他]
研究課題名リン吸着資材によるため池等農業用水のアオコ発生抑制
予算区分受託
研究期間2003年度
研究担当者矢吹芳教、森 達摩

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