[成果情報名]

カーネーション養液土耕における環境に配慮した施肥法

[要約] カーネーション養液土耕における施肥法は、時期別養分吸収量に従って施用する方法が、土壌中への養分蓄積が少なく、高収量が維持できる環境保全型施肥法である。
[キーワード]カーネーション、養液土耕、養分吸収量、収量、土壌養分
[担当]兵庫農総セ・部長(農林水産環境担当)、淡路農技セ
[連絡先]電話0790-47-2420、電子メールKinoe Ogawa@pref.hyogo.jp
[区分]近畿中国四国農業・生産環境(土壌・土木・気象)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 カーネーション養液土耕の栽培は慣行(固形置肥)法に比べ環境負荷の少ない方法ではあるが、過剰施用により養分の排液への流出や連作土壌における蓄積は大きく、コスト高で環境負荷にもつながる。そこで、環境に配慮しながら安定した収量を得られるカーネーション養液土耕のための最適な施肥方法および施肥量について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 従来の養液土耕の施肥法(N:110g、P2O5110g、K2O110g、CaO37g、MgO11g/m2)でスタンダードタイプ「ノラ」を栽培し、4週毎の時期別養分吸収量および吸水量に基づき給液プログラムを表1のとおり作成した。この従来の施肥法では施肥効率から判断してP2O5過剰、K2O、CaO、MgO不足であったことがわかる(表2)。
  2. 作成した給液プログラムと全成分同濃度(1倍区)と1.5倍の濃度(1.5倍区)を翌年施用した時の養分吸収量は、1倍区でも前年度の養分吸収量を各養分とも上回り、施肥効率がやや高くなる。1.5倍区の養分吸収量は1倍区とほぼ同等で施肥効率は低くなり、土壌中の残存および排液としての流出が考えられる(表3)。
  3. 作成した給液プログラムに基づいた施肥1倍区および1.5倍区では、従来法と比べて切り花の収量は増加する傾向はあるが品質ともに大差はなく、表3に示した1倍区における養分吸収量の増加は贅沢吸収と考えられる(表4)。
  4. 作成した給液プログラムに基づいた施肥1倍区の土壌中のNO3-Nは、従来法と比べて過不足が少なく推移し、栽培終了後の土壌への残存もなく、根系に与えるストレスも少ないと考えられる。吸収量に対して過剰な施肥を行うと、養分の排液への流出や土壌中への残存のおそれがある()。他の養分についても同様の傾向がみられる。
  5. 給液プログラムに基づいた施肥法は、切り花収量を減少させることなく、土壌中への養分蓄積がない環境保全型施肥法である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 土壌中に蓄積した養分も含め施肥の過剰施用は、植物体の養分吸収量を高くするが切り花収量に大差はなく贅沢吸収となり、土壌中への蓄積および排液への流出が多くなる可能性がある。
  2. 施肥量は気候等により年次変動があるが、土壌による緩衝力と土壌溶液による簡易診断で対応可能であると考えられる。

[具体的データ]









[その他]
研究課題名カーネーションの養液土耕による省力・高品質・安定生産技術の開発
予算区分国庫助成(先端技術等地域実用化研究促進)
研究期間2001〜2003年度
研究担当者小河 甲、山中正仁、宇田 明

目次へ戻る