[成果情報名]

ケイ酸質肥料の培地施用による養液栽培イチゴのうどんこ病発病抑制

[要約] ヤシ殻などの有機質培地を用いたイチゴの養液栽培において、ケイ酸質肥料(シリカゲル肥料)を基肥として培地に施用すると、葉、果実ともにうどんこ病の発病が顕著に抑制される。
[キーワード]イチゴ、有機質培地、養液栽培、ケイ酸質肥料、うどんこ病、発病抑制
[担当]島根農試・環境部・土壌環境科
[連絡先]電話0853-22-6650、電子メールogawa-tetsuro@pref.shimane.jp
[区分]近畿中国四国農業・生産環境(土壌・土木・気象)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 「とよのか」をはじめ多くの品種で問題となるイチゴのうどんこ病は、発病が葉だけでなく果実にも及ぶことから被害が大きい。このため、現場では薬剤散布を中心にその発生防止に努めているが、この薬剤による防除作業は労力面に与える負担が大きく省力化に向けた対策が求められている。一方、肥料成分であるケイ酸は、イネ科作物などにおいて病害抵抗力を高める効果がよく知られているが、近年イチゴにおいても同様の効果が確認されている。ここでは、有機質培地を使用したイチゴの養液栽培において、ケイ酸質肥料の施用によるうどんこ病の発病抑制効果について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. ケイ酸質肥料として、シリカゲル肥料(可溶性ケイ酸80%含有)を定植前の培地表面に1株当たり3〜12g施用した後、通常の養液管理を行うと、葉のうどんこ病の発病は低いレベルに抑制される。また、果実での発症も少なく、その効果は施用量の増加とともに高くなる(図1)。
  2. シリカゲル肥料を施用しても培地内溶液のpHに大きな変化はなく、概ね6前後の値で推移する(図2)。したがって、施用による微量要素欠乏などの要素障害発生の恐れはなく、培地のpH調整の必要もない。
  3. イチゴ葉中のケイ酸含有率は、シリカゲル肥料の施用量、施用後の経過日数にほぼ比例して高くなる。窒素とその他の無機成分では、シリカゲル肥料施用量の違いによる大きな差はない(図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. シリカゲル肥料を基肥施用する場合、培地表面への施用でもうどんこ病の発病抑制に十分効果があるが、可能であれば吸収効率の高い培地への混合施用が好ましい。
  2. ケイ酸カリウムを培養液に溶解させ、点滴灌水チューブを通じて施用しても、うどんこ病の発病抑制に効果がある。
  3. うどんこ病に対するケイ酸質肥料の効果は、植物体の表皮組織が強化されることで副次的に得られるものであり、本病に対する殺菌作用ではない。したがって、仮植床や本圃での農薬による基幹防除は必要である。

[具体的データ]





[その他]
研究課題名メロン・イチゴ等の軽・少量培地耕システムによる早期産地化支援技術の確立
予算区分県単(プロジェクト研究)
研究期間2001〜2002年度
研究担当者小川哲郎、伊藤淳次、三上哲壮、高野 浩、北川 優

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