[成果情報名]

高品質早生系のフキ新品種「フキ徳島1号」

[要約] 「フキ徳島1号」は、農家と共同で選抜育成した山フキ専用の品種で、葉柄は4月中旬から収穫でき、小型で色が鮮やかで香りが良い。ふきのとうも卵型で締まりが良く、市場性が高い。
[キーワード] 育種、フキ、山ぶき、ふきのとう
[担当] 徳島農研・中山間担当
[連絡先] 電話0883-72-0239、電子メールtakagi_kazufumi_1@pref.tokushima.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 山フキは、一般に流通しているフキと違い、小ぶりで独特の強い香りと歯触りが喜ばれ、山菜としての商品価値が高まっている。
 県内の山間部では野生株を利用した小規模産地が点在するが、系統が雑多であることから品質の均一化と早期出荷が求められている。
 そこで、早期から収穫でき、品質の優れた個体を選抜して山フキの産地を強化することにより、本県中山間地の農業振興を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 本種は、徳島県下の野生由来の外観が優良で早生系のフキ25系統を収集し、育成目標にかなった形質を安定的に備えている「美郷3」系統を「フキ徳島1号」とし2002年12月育成を完了したものである。
  2. 本種の葉柄の特徴は、「愛知早生」と比較して小型で色も濃く条斑も少ない。また官能検査でも「愛知早生」、「池田ウマバ」と比較して高得点であり、山フキとして品質が良い(表1)。
  3. 本種のふきのとうの特徴は、他種と比較して卵型で締まりが良い(表1)。
  4. 本種の葉柄の収穫適期は4月中旬で「池田ウマバ」より早生である。また紅色部の長さも長く、葉柄長に対する比率は14.9%と高い(表2)。
  5. 1平方メートル当たりの収量は、葉柄は995gと「池田ウマバ」より約3%少なく、ふきのとうは222.4gと「池田ウマバ」より約12%多い(表2)。
  6. 本種の外観は、葉柄は色が鮮明で紅色部とのコントラストが明確であり、ふきのとうは形状、色沢、しまりが良く、ともに山フキとして市場性が高い(写真1写真2)。
  7. 「愛知早生」、「池田ウマバ」と比較し、葉面の波打ちが「大」であることで区別でき、雄株であるため種子を作らないことから混種の危険性が少ない。

[成果の活用面・留意点]

  1. 敷き草により基部の着色度が増す。
  2. 白絹病の発病程度は「愛知早生」と同等の「中」である。
  3. 品種登録出願中であり、種苗法及び現地試験に関する確認書を順守する。
  4. 中山間地の遊休農地が活用できる。
  5. 品種登録出願時の名称は「みさと」である。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 山フキの優良系統の育成
予算区分 国補(生産総合・新特産産地形成促進事業)、県単
研究期間 1999〜2002年度
研究担当者 高木一文、小角順一
発表論文等 高木、森永(平成15年)品種登録出願

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