[成果情報名]

上白糖及びクエン酸を原料としたトルコギキョウの品質保持剤

[要約] 本剤はトルコギキョウの日持ちを延長し、新たに開花する花の着色程度を改善する。上白糖5%とクエン酸150ppmの混合液で、生産者が作製可能である。
[キーワード] トルコギキョウ、品質保持剤、上白糖、クエン酸
[担当] 京都農総研・花き部
[連絡先] 電話0771-22-0429、電子メールy-tsuchihashi02@mail.pref.kyoto.jp
[区分] 近畿中国四国農業・花き
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 トルコギキョウは、STS(チオ硫酸銀錯塩)処理により日持ちが延長するが、つぼみから開花してくる花色の着色改善には効果がない。また、先に開発した糖質と抗菌剤である8-HQS(8-ヒドロキシキノリン硫酸塩)との組み合わせ処理は、STS処理と遜色ない日持ち延長効果とともに、着色改善効果が期待できるが、8-HQSの安全性を示す情報がない。
 そこで、日持ち延長と着色改善に効果があり、生産者が成分を理解して、自ら作製できる品質保持剤として、天然物由来の食品または食品添加物を成分とする品質保持剤を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 開発した品質保持剤は、サトウキビやビートが主原料である上白糖5%とサツマイモが主原料のクエン酸150ppmからなる。
  2. 上白糖5%とクエン酸150ppm混合液で24時間処理すると、切り花生体重100g当たり0.6gが吸収され(表1)、日持ち日数が有意に延長する(表2)。
  3. つぼみから開花した花の着色程度は、採花5日後(小売店販売時を想定)、採花11日後(消費者購入後観賞後期を想定)ともに著しく改善される(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 上白糖(スクロース約98%含有)は市販の1kg袋入り、クエン酸はゼリーなどで使用する食品添加物を用いる。
  2. 本剤は抗菌効果が期待できるpH4前後であるが、細菌繁殖防止のため1回のみの使用とする。
  3. クエン酸を水道水に30g/l溶かして濃縮液を作り、このクエン酸濃縮液100mlと上白糖1kgを水道水で20lになるまで溶かすことにより簡単に品質保持剤を作製できる。品質保持剤20lで、トルコギキョウ300〜500本の処理が可能であり(図1)、切り花1本当たりの経費としては0.4〜0.6円である。
  4. 着色改善効果は産地を知りうる小売り段階で効果が現れるため、産地によるブランド化を図る際には有利である。
  5. 処理条件によっては糖質による葉の障害が現れることが予想されるため、使用に際しては吸収量に留意して予備試験を行うことが望ましい。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 トルコギキョウの長期連続出荷技術の確立
予算区分 府単
研究期間 2000〜2002年度
研究担当者 土橋 豊
発表論文等 土橋(2003)平成15年度花き研究シンポジウム資料:28-32

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