[成果情報名]

生体電気インピーダンス解析による牛肉の品種及び部位特定技術

[要約] 牛枝肉及び牛肉サンプルのインピーダンス特性は、品種及び筋肉部位による効果が認められる。
[キーワード] 肉用牛、黒毛和種、褐毛和種、交雑種、牛肉、インピーダンス
[担当] 香川県畜産試験場、高知県畜産試験場、徳島県畜産研究所肉畜分場、愛媛県畜産試験場
[連絡先] 電話087-898-1511、vm7519@pref.kagawa.lg.jp
[区分] 近中四農研・畜産草地
[分類] 技術 ・参考

[背景・ねらい]
 牛肉は品種及び部位によっては、流通価格が大きく異なることや、消費者の安心、安全、信頼及びトレーサビリティーの観点などから、流通、消費段階での品種や部位の特定は重要である。
 そこで、牛肉の生体電気インピーダンス解析を行うことにより、品種及び筋肉部位における差を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 去勢肥育牛(交雑種6頭、褐毛和種24頭、黒毛和種49頭)の枝肉左半丸の第6、7肋間の胸最長筋(脂肪交雑の配向に対して90°、45°、0°、-45°に電極刺入)(以下「枝肉」)並びに去勢肥育牛(交雑種17頭、褐毛和種5頭、黒毛和種41頭)左半丸第6,7肋間横し約3cm厚に切り出した広背筋、胸最長筋及び僧帽筋サンプル(以下「サンプル」)に白金線針状電極を刺入し、周波数特性分析機で測定する(図1)とインピーダンス値及び位相値が得られる。
  2. 枝肉及びサンプルのデータから、複素非線形最小自乗法を用いて、インピーダンス特性(細胞外抵抗、細胞内抵抗、細胞膜容量、位相角)が推定できる。
  3. 「枝肉」では、細胞外、内抵抗及び位相角において、品種の効果が認められる。特に、細胞外抵抗で、褐毛和種が他の品種と比較して有意に低いインピーダンス特性を示す(表1)。
  4. 「サンプル」では、細胞外抵抗、細胞膜容量及び位相角において、筋肉部位の効果が認められる。特に、細胞外抵抗及び細胞膜容量で胸最長筋が、位相角で僧帽筋が他の部位と比較して有意に異なるインピーダンス特性を示す(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 牛肉のインピーダンス特性を測定することにより、品種及び筋肉部位の特定の可能性がある。
  2. 今後、量販店で販売されている肉片でも品種及び筋肉部位の特定について調査検討する必要がある。
  3. 他の品種(ホルスタイン種、外国種)についても検討する必要がある。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 新たな流通戦略を目指した肉用牛の品質評価システムの開発
予算区分 先端技術等地域実用化研究促進事業
研究期間 2001〜2003年度
研究担当者 谷原礼諭、橋本和博、渡邊朋子、高橋和裕、中嶋哲治(香川畜試)、豊田淨彦(神戸大)、松本和典(近中四農研セ)、日浦千尋(高知畜試)、岡田栄一(愛媛畜試)、新居康生(徳島畜研)

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