[成果情報名]

開花期後追肥が丹波黒大豆の収量に及ぼす影響

[要約] 丹波黒大豆における開花期後土壌深層追肥により最も多収となる最適追肥時期は、開花終わりにあたる開花期後30日、施肥適量は窒素成分量で6.0kg/10a程度である。
[キーワード]ダイズ、開花期後追肥、丹波黒大豆、増収
[担当]京都農総研・作物部
[連絡先] 0771-22-5010、t-terashima29@mail.pref.kyoto.jp
[区分] 近畿中国四国農業・作物生産(夏作)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 丹波黒大豆の追肥は、中耕培土時や開花期に土壌表層や表層付近に施肥が施されているが、その増収効果は不安定である。その理由としては、施肥窒素が栄養生長に多く使われること、表層施肥では施肥窒素が硝酸態に変化しやすく、根粒菌の活性が高い時期に根粒菌が多い表層付近に施肥することで、その活性を阻害していること等が考えられる。また、ダイズは開花期以降アンモニア態の窒素を好んで吸収する。そこで、丹波黒大豆の増収を目的に、根粒菌の活性が衰える開花期以降に、根粒菌の少ない土壌深層(地表下20cm)にアンモニア態窒素肥料である硫安を施肥し、丹波黒大豆の収量及び収量構成要素に及ぼす影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 追肥の効果を明らかにするため、基肥無しで検討した開花期後土壌深層追肥の最適施肥時期は、開花終わりにあたる開花期後30日であり、節当たり莢数、莢当たり粒数が開花期後0日追肥より多くなり、開花期後0、15、30、45日追肥の中で最も子実重が重く、無追肥に比べて166%の多収となる(表1)。
  2. 慣行の基肥施肥を行った丹波黒大豆の開花期後30日土壌深層追肥の窒素成分2.0~6.0kg/10aの間では、増施により子実重は重くなり、施肥量6.0kgg/10aで最も多収となる(表2)。6.0~8.0kg/10aの間では増施による増収効果は認められない(表3)。
  3. 以上の結果、丹波黒大豆への硫安の土壌深層追肥は開花期後30日(開花終わり)の処理が最も増収効果があり、最も多収となる施肥量は窒素成分で6.0kg/10a程度である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 灰色低地土の水田転換畑で得られた結果である。
  2. 丹波黒大豆の開花期後追肥法を検討する基礎資料となる。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名丹波黒大豆の生産性向上技術の確立
予算区分府単
研究期間2001~2004年度
研究担当者 寺嶋武史

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