[成果情報名]

石膏資材施用による水稲代かき時期の農業濁水発生軽減

[要約] 水稲の代かき時期における石膏資材(粒状肥料)の散布は、懸濁物質の濃度を低下させ、田面水の透視度を向上させる。特に、荒代かき直後の散布は、移植時期まで凝集沈殿効果が持続することから、濁水発生軽減技術のひとつとして有効である。
[キーワード] 水稲、代かき、石膏、濁水、透視度、懸濁物質、流出負荷軽減
[担当] 滋賀農総セ・農試・環境部・環境保全担当
[連絡先] 0748-46-3081、S208159@pref.shiga.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(土壌・土木・気象)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 滋賀県では琵琶湖の水質保全が重要課題となっており、代かき・田植時期に水田から流出する濁水は、漁業への影響(鮎の遡上阻害)や景観上からも問題となっている。特に、土壌粒子の細かい地域では、代かき作業が2回行われることもあり、その期間中に降雨等があると水尻から排水路へ濁水が流出しやすく、河川・琵琶湖へ流れ込むことになる。このため、現地ほ場において石膏資材(CaSO4・2H2O 93.6% 粒状肥料)を代かき時期に散布し、その凝集沈殿促進効果を利用した濁水発生軽減技術を確立する。
[ 成果の内容・特徴 ]
  1. 荒代かき直後、またはその前日に石膏資材を散布すると、散布しない水田に比べ、荒代かき後から移植前までの透視度が向上し、移植の3日後まで効果が持続する。特に、荒代かき後の散布では植代かき以降にも効果が持続することから、移植前までの降雨時に流出する濁水の発生を軽減する効果が高い。荒代かきの前日の散布では、石膏を予め水に溶解させるため、荒代かき後の効果は高いものの植代かき以降は効果が低い(図1)。
  2. 石膏資材を散布した水田では、散布しない水田に比べ、田面水のSS濃度が低下する。植代かきの3日後(水稲移植直前)の田面水のSS濃度は、荒代かき直後に石膏資材を散布した水田で最も低減される。なお、SS濃度が低い水田ほど透視度は向上する(図2)。
  3. SS流出負荷量(入水〜移植前落水)は、荒代かきの前日に石膏資材を散布すると、石膏を散布しない水田に比べ、9割以上軽減され、T-N(全窒素)、T-P(全りん)の流出負荷量についても同様に軽減される。なお、荒代かき直前の石膏資材の散布は、石膏が水に溶解されにくく、凝集沈殿効果が低い(表1)。
  4. 石膏を散布しても、収量(精玄米重)への影響は認められない(表1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 荒代かき直後に石膏資材を散布した水田では、水量調査を実施しなかったが、田面水のSS濃度が荒代かき前日に散布した水田よりも低く抑えられることから、SSやT-N、T-Pの流出負荷量は、それ以上に軽減されると考えられる。
  2. 凝集沈殿効果は、田面水中の石膏濃度に大きく影響されるため、極端な深水での荒代かきを行わないように留意する。
  3. 濁水の流出については、水田から流さないことが前提であるため、本技術を取り入れた場合にも日常の水管理や畦塗り・浅水代かきの励行は基本技術として重要である。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 資材施用による濁水発生軽減試験
予算区分 国補(循環型地域農業確立支援事業)
研究期間 2002〜2004年度
研究担当者 駒井佐知子、水谷智、小林敏正、太田喜信、岡本將宏、柴原藤善

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