[成果情報名]

タマネギの収穫直後と吊り玉貯蔵後の内容成分からみた品種特性

[要約] 収穫直後では、早生種より中生、晩生と熟期が遅い品種ほど、Brixやピルビン酸が高くなる。中生種「ターザン」は、貯蔵性、ピルビン酸、全糖含量が高く外皮の色上がりが早い。晩生種「もみじ3号」は、貯蔵性、吊り玉後の全糖・蔗糖含量の上昇に優れる。
[キーワード] タマネギ、品種比較、ピルビン酸、全糖、蔗糖
[担当] 兵庫農総セ・淡路農技・農業部
[連絡先] 0799-42-4880、shouji_kobayashi@pref.hyogo.jp
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 淡路タマネギは、気候風土にも恵まれ100年以上の歴史と約2,000haの栽培面積を持つ兵庫県産ブランド品目の1つである。産地では、これまで収量性や貯蔵性を重視した品種の選定が行われてきた。しかし、海外から安価なタマネギの輸入量が年々増える傾向にあり、国際競争力のある産地として生き残るためには、高品質化によるブランド力を高めた品質管理を行う必要がある。ここでは、産地の特色を生かすため、収穫直後だけでなく、淡路タマネギの特徴である吊り小屋乾燥・貯蔵後の甘さを示す糖類の含量や辛味・機能性成分の指標とされるピルビン酸含量などの食味を表す成分などを加えた品種特性を明らかにする。
[ 成果の内容・特徴 ]
  1. 収量面についてみると、早生種では、「七宝早生7号」が肥大性・日持ちに優れる。中生種では、肥大性の差は小さく「ターザン」、「C82」が吊り玉貯蔵性に優れる。晩生種では、さらに吊り玉貯蔵性が重視され、肥大性はやや劣るが「もみじ3号」、「D83」が選定される。2月植え種では、「C80」、「アース」が肥大性に、「D82」が吊り玉貯蔵性に優れる(図1)。
  2. 収穫直後の内容成分についてみると、早生種は相対的にBrix、辛味の指標となるピルビン酸含量が低い。中生種では、早生種に比べて全体的にこれらの値が高い。晩生種では、中生種よりさらに高く、熟期が遅くなるほど内容成分含量が高くなる。しかし、播種・定植時期の遅い2月植え栽培種では、Brix、ピルビン酸含量ともに中・晩生種より低い(図2)。
  3. 品種の違いについてみると、中生種では、「ターザン」で、ピルビン酸や全糖含量などの内容成分が高く、外皮の赤味を表すa/b値が高く仕上がりが早い。晩生種では「もみじ3号」で、2月植え栽培種では「D82」でBrix、ピルビン酸含量が高く優れる(図2)。
  4. 吊り玉貯蔵後では、収穫直後に比べて全体的にピルビン酸含量は低下し辛味が薄れ、全糖含量が増加する。なかでも蔗糖含量が高く甘みが増す。さらに、外皮のa/b値も高くなり赤味が増す。特に、晩生種の「もみじ3号」は全糖・蔗糖含量の上昇が大きい(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 品種の選定や産地の情報発信に役立てる。但し、土性や土壌養分、気象条件により内容成分含量が異なるため、他産地では現地圃場での確認が必要となる。特に、2月植え栽培は、冬期の日照量が多い温暖な地域に限られる。
  2. 吊り小屋に貯蔵する場合は、玉を詰め過ぎないように風通しを良くする。吊り小屋貯蔵後は、萌芽を防ぎ貯蔵養分の消耗を抑えるため、2℃の冷蔵庫に入庫して貯蔵する。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 特産および新特産野菜の種類、品種選定と栽培改善
予算区分 県単
研究期間 2002〜2004年度
研究担当者 小林尚司、大塩哲視、小河拓也(部長・食品加工流通)

目次へ戻る