[成果情報名]

香川県下の黒毛和種の母性遺伝効果の推定

[要約] 家畜市場に出荷された県内産子牛の出荷体重を用いた直接的遺伝効果の遺伝率は0.29で、母性遺伝効果の遺伝率は0.22で、遺伝相関は-0.29でる。
[キーワード] 肉用牛、黒毛和種、繁殖雌牛、母性遺伝効果、育種価
[担当] 香川畜試・酪農・肉牛担当
[連絡先] 087-898-1511、dx2527@pref.kagawa.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・畜産
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 香川県内の繁殖農家は、これまで市場性を重視した子牛を生産してきたが、近年においては、枝肉成績を活用した育種価による交配計画も進められている。繁殖雌牛の選抜の際もこの枝肉成績の育種価を活用する傾向にあるが、離乳前の子牛の発育は、子牛自身の発育性と母牛の哺育能力との複合形質であり、繁殖雌牛の改良や選抜の際には哺育能力も考慮することが重要な形質である。しかしながら、これまで、香川県下では、哺育能力について充分な検討がなく、適切な指標として改良を進めることがなかった。そこで、子牛市場の出荷時体重を用いた母性遺伝効果の解析を行い今後の改良方針の一助とする。
[ 成果の内容・特徴 ]
  1. 平成13年4月から平成15年6月に香川県家畜市場に出荷された6カ月齢〜13カ月齢までの県内産黒毛和種子牛のうち受精卵移植産子を除き、一農家当り3頭以上の出荷記録があるデータ1,037頭を用いる。
  2. 直接的遺伝効果の遺伝率は0.29で、母性遺伝効果の遺伝率は0.22、遺伝相関は-0.29である(表1)。
  3. 種雄牛298頭の直接的遺伝効果(-20.176kg〜25.663kg)と母性遺伝効果の育種価(-33.896kg〜20.316kg)が得られる(図1)。
  4. 繁殖雌牛2,439頭の直接的遺伝効果(-13.219kg〜16.175kg)と母性遺伝効果(-36.223kg〜22.937kg)の育種価が得られる(図2)。
  5. 香川県下の牛群では、直接的遺伝効果、母性遺伝効果の育種価の両方を指標とした改良が必要である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 長期間に亘った子牛市場成績でないため、繁殖雌牛の一頭当たりの記録が少ない。
  2. 農家個人による選抜や改良の参考として活用することが可能である。
  3. 産肉形質の育種価同様に、母性遺伝効果の育種価も含めて、総合的に繁殖雌牛群の整備を進めていくことが重要である。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 香川県下における黒毛和種の直接的及び母性遺伝効果に関する遺伝的パラメータの推定
予算区分 単県
研究期間 2004〜2005年度
研究担当者 高橋和裕、橋本和博、中嶋哲治、谷原礼論、渡邉朋子
発表論文等 高橋ら(2004) 香川畜試試験場報告 39.

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