[成果情報名]

讃岐黒豚を利用した特徴ある非加熱食肉製品の開発

[要約] バークシャー種純粋である讃岐黒豚の骨付きモモを用い非加熱食肉製品である生ハムを製造する。讃岐黒豚は塩漬後の保水性に優れる傾向が認められる。生ハムの遊離アミノ酸量は塩分と水分と相関がある。生ハムの表面、内部から病原性細菌は検出されない。
[キーワード] 豚肉、讃岐黒豚、非加熱食肉製品、生ハム
[担当] 香川県畜産試験場 養豚担当
[連絡先] 087-898-1511、vg1512@pref.kagawa.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]技術、参考

[背景・ねらい]
 香川県の銘柄豚である讃岐黒豚の流通及び消費では、ロース及びバラの需要は高いがモモは低い。そこで、モモの付加価値を高めるため、生ハムの製造技術を開発する。
[ 成果の内容・特徴 ]
 製造行程において、品種、保存期間、塩漬期間の試験区を設定し、乾燥熟成は空調機を備えた庫内で行い外気温に応じて調整する。成分分析用サンプルは大腿二頭筋とし保存期間、水分、塩分と総遊離アミノ酸量等を比較する。微生物検査は100~220日間保存した生ハム3例について、食品衛生法の定める加熱及び非加熱食肉製品規格に基づき、表面及び内部を検査する。
  1. 本試験での生ハムの製造行程を表1に示す。製造開始時期は低温乾燥気候の冬季が適する。塩漬期間を21日以上とすると乾燥熟成後の塩分は10%以上になる場合がある。
  2. 讃岐黒豚は大ヨークシャーと比較して、モモ重量及び枝重に占めるモモ重量は低く、塩漬後の保水性が高い傾向が認められるが、乾燥熟成後の水分及び総遊離アミノ酸量に差は認められない。また、水分活性値は全て0.95未満である(表2)。
  3. 乾燥熟成中の生ハムは筋肉部表面が乾燥するが、水分を調整するためには油脂を塗布することがある(図1)。
  4. 塩分8%以下の生ハムにおいては、遊離アミノ酸量と保存期間(R2=0.94)とは相関が認められる(図2)。
  5. 生ハムの遊離アミノ酸量と水分(R2=0.45)、塩分(R2=0.55)とは相関が認められる(図3)。
  6. と殺日を0日として100~220日間保存した3例において微生物検査をおこなったが、表面及び内部に黄色ブドウ球菌、大腸菌、ウエルシュ菌、ボツリヌス菌、リステリア菌、サルモネラ属菌等の病原性細菌は検出されない。
[成果の活用面・留意点]
  1. 伝統的生ハムの生産国は地中海周辺のイタリア、スペインであり、地中海式気候に似た瀬戸内海気候は生ハム製造に適すると考えられるため、香川県での特産化が期待される。
  2. 非加熱食肉製品の製造においては食品衛生法をはじめとする関係法令を遵守する必要がある。
  3. 非加熱食肉製品の製造器具等は加熱食肉製品と区別する必要がある。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 讃岐黒豚を利用した特徴ある非加熱食肉製品の開発
予算区分 県内公設試験研究機関共同研究事業費
研究期間 2002~2004年度
研究担当者 田淵賢治、川口政司、土田由佳理(香川畜試)、白川武士(香川産技食研)、砂原千壽子(香川環保研)
発表論文等 香川県畜産試験場研究報告第39号

目次へ戻る