[成果情報名]

小麦「ふくさやか」の適正な播種時期・播種量と施肥体系

[要約]滋賀県における「ふくさやか」の播種適期は10月下旬から11月中旬で、11月上旬播種が最も高く安定した収量が確保できる。最適な播種量は、全面全層播で10kg/10a程度である。基肥窒素を2kg/10a減量、3月上旬追肥を2kg/10a増量することにより収量性の向上が期待できる。
[キーワード]コムギ、ふくさやか、播種時期、播種量、施肥体系
[担当]滋賀農技セ・栽培研究部・作物担当
[連絡先]電話番号 0748-46-3082、電子メール kawamura-masahiko@pref.shiga.lg.jp
[区分]近畿中国四国農業・作物生産(冬作)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 小麦新品種「ふくさやか」は、「農林61号」に比べて倒伏に強く、早熟で製麺適性に優れる等の特徴を有していることから滋賀県の奨励品種に採用した。今後、広く普及を図っていくため、品種特性に応じた栽培技術(播種時期、播種量、施肥体系)の確立を図る。
[成果の内容・特徴]
  1. 滋賀県において「ふくさやか」を10月20日〜12月5日の範囲で播種した場合、出穂期は4月10日〜4月27日、成熟期は6月2日〜6月11日となる(表1)。
  2. 穂数は10月20日播きで最も多く、播種期が遅くなるに従い減少する傾向にある。収量は、12月5日播きでは有意差はないものの低下が懸念され、11月5日播きで最も高く安定しており、千粒重、容積重も高く、外観品質も優れる傾向がある(表1)。
  3. 播種量を増やすと穂数は増加するが、収量は播種量10kg/10aで頭打ち傾向となる(表2)。
  4. 10月下旬から11月上旬に播種する「ふくさやか」は、基肥窒素を2kg/10a減量し、3月上旬追肥を2kg/10a増やす施肥体系により生育後半の葉色が濃く推移するが、倒伏は認められない。穂数が増加して収量は高くなる傾向が見られ(図12)、千粒重、容積重、外観品質の低下も見られない。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本暗渠、弾丸暗渠、明渠等を組み合わせた適正な排水対策を実施した上で、積雪の多い地帯を除く地力中庸以上の県内平坦部に適用する。
  2. 10a当たりの施肥窒素量は、基肥4kg、12月下旬追肥2kg、3月上旬追肥4kgを基準とし、適正な蛋白質含量確保のため、出穂後10日追肥を4kg施用する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名近畿地域の水田における小麦新品種の品質・収量の高位安定化栽培技術の確立
予算区分ブランドニッポン1系
研究期間2001〜2005年度
研究担当者河村政彦、中山孝彦、吉岡ゆう、鳥塚 智

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