[成果情報名]

裸麦「マンネンボシ」の品質と施肥の関係

[要約]裸麦「マンネンボシ」は穂肥の多施用により屑麦率は高くなるが収量は向上する。しかし、硝子率は高くなり、精麦白度も劣る。容積重は年次変動があるが、概ね小さくなる。硝子率を上げないため、穂肥施用前の葉色が濃い場合は施肥量を控える必要がある。
[キーワード]ハダカムギ、マンネンボシ、施肥量、収量、容積重、硝子率、精麦白度
[担当]愛媛農試・栽培開発室
[連絡先]電話番号 089-993-2020、電子メール kimura-hiroshi@pref.ehime.jp
[区分]近畿中国四国農業・作物生産(冬作)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 裸麦の実需者ニーズとして、安定供給に加え品質の均一化があげられる。今後、生産された麦は、容積重、細麦率、精麦白度、硝子率の品質評価項目によってランクづけされ、農家所得にも影響するようになる。
 愛媛県では、2000年に「マンネンボシ」を奨励品種に採用し、普及を図っている。「マンネンボシ」は倒伏に強い品種であり、農家所得向上のための多肥による多収栽培が可能であるが、逆に品質低下が懸念される。
 そこで、安定した品質を確保するため、「マンネンボシ」の品質と施肥との関係について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 裸麦「マンネンボシ」は倒伏に強いため、中間追肥の施用や穂肥の多施用により2.2mm未満の屑麦率は高くなるが、収量は向上する(図1)。
  2. 容積重は、多肥によって、概ね小さくなる。ただし、2003年播種麦のように登熟期間の気温が低く登熟期間が長い年など全体に容積重が大きい年には、施肥量による差はみられない(図2)。
  3. 硝子率は、穂肥量の影響が大きく、穂肥前の葉色にかかわらず、穂肥を基準量(3Nkg/10a)より多く施用すると50%以上となる危険性が高まり、品質は低下する。また、穂肥前の葉色が濃い場合(SPAD値52以上)は、穂肥を基準量施用しても、硝子率が50%以上になる場合がある(図3)。したがって、硝子率を上げないためには、穂肥施用前(出穂30日前)の葉色が濃い場合は施肥量を控える必要がある。
  4. 硝子率と精麦白度については負の相関がみられ、硝子率を低くすることによって、精麦白度は高くなる(図4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 愛媛県下における「マンネンボシ」の標準播種(11月10日から11月25日)に適用する。
  2. 品質を低下させないための基準施肥量は10a当たり窒素成分で基肥7kg、中間追肥2kg(出穂60日前施用)、穂肥3kg(出穂30日前施用)とする。
  3. 葉色は、展開上位第2葉を測定する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名裸麦有望系統安定生産技術確立試験
予算区分その他受託(ブランド・ニッポン)
研究期間2003〜2005年度
研究担当者木村 浩、住吉俊治、下田かおり

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