[成果情報名]

ベンタゾン液剤によるダイズ「サチユタカ」への薬害発生に及ぼす有機リン系殺虫剤および過湿処理の影響

[要約]エチルチオメトン粒剤を播種時処理したダイズ「サチユタカ」は、ベンタゾンによる薬害が助長され、落葉や褐変などの重大な症状が多発する。その後の地上部生育が顕著に抑制され、薬害からの回復が遅れる。薬害発生に及ぼすダイアジノン粒剤及び湿害の影響は比較的小さい。
[キーワード]ダイズ、サチユタカ、ベンタゾン、エチルチオメトン、ダイアジノン、湿害、薬害
[担当]広島農技セ・土地利用研究部
[連絡先]電話番号 082-429-2418、電子メール ngctochi@pref.hiroshima.jp
[区分]近畿中国四国農業・作物生産(夏作)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 ベンタゾン液剤は広葉雑草に有効なダイズの生育期処理除草剤として新規に農薬登録されたが、一過性の薬害が生じる場合がある。特にアブラムシやフタスジヒメハムシに有効な有機リン系殺虫剤を播種時に処理した場合や初期の湿害などで生育が停滞している場合に薬害が助長されるとの報告がある。そこで、ベンタゾン液剤のダイズ栽培への適用条件を明らかにするため、ベンタゾン液剤を処理したダイズ「サチユタカ」の生育に及ぼす有機リン系殺虫剤(エチルチオメトン粒剤、ダイアジノン粒剤)および過湿処理の影響について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. ベンタゾン液剤による重度の薬害症状である褐変や落葉は、エチルチオメトン粒剤の播種時処理(5s/10a相当量)区で多発し、ベンタゾン液剤処理時に展開中の上位2番目の葉で最も発生が多い。ダイアジノン粒剤の播種時処理(5s/10a相当量)や過湿処理では褐変や落葉の発生は極めて少ない(図1図2)。
  2. ベンタゾン液剤処理14日後の地上部生育量は、エチルチオメトン粒剤処理区で顕著に抑制される。処理後新たに生育する部位では、上位葉に比べて、主茎、分枝で薬害の影響を強く受ける。ダイアジノン粒剤および過湿処理では、ベンタゾン液剤による生育への影響は小さい(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 品種「サチユタカ」を用いた8月上旬播種のポット試験における結果であり、他の品種や標準播種期、圃場条件での検討が必要である。
  2. 湿害の発生程度は圃場や気象条件によって異なるため、ベンタゾン液剤による薬害に及ぼす湿害の影響については、さらに詳細な検討が必要である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名水田の畑地化と長期不耕起輪作による麦・大豆の高位安定生産技術体系の開発
予算区分県単
研究期間2005〜2009年度
研究担当者保科 亨、浦野光一郎

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