[成果情報名]

夏秋キュウリの畝連続利用(8作)栽培技術

[要約]夏秋キュウリ栽培において、前作の畝を利用する不耕起栽培にかん水同時施肥法を組み合わせることで、作毎に耕起する栽培と同程度の収量が得られ、大幅な省力化を図ることができる。
[キーワード]キュウリ、畝連続利用、不耕起、かん水同時施肥、省力化
[担当]愛媛農試・生産環境室
[連絡先]電話番号 089-993-2020、電子メール matsumoto-hideki@pref.ehime.jp
[区分]近畿中国四国農業・生産環境(土壌・土木・気象)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 露地の夏秋キュウリ栽培は、栽培管理、収穫・出荷調整及び圃場準備・片付けに多くの労力を要する。高齢化の進む中山間地の農家では、これら作業の大きな負担が栽培面積減少の大きな要因となっている。
 そこで、1作目の畝を継続して何年も連続的に不耕起で栽培する畝連続利用栽培に、かん水同時施肥法を組み合わせ収量・品質の維持及び省力化を図った。
[成果の内容・特徴]
  1. 夏秋キュウリの畝連続利用栽培は、パイプアーチの圃場据え置き、畝の連続再利用、かん水同時施肥法を組み合わせた、不耕起栽培体系である(図1)。
  2. 畝連続利用区は、定植前のかん水(液肥混入)等により土壌を柔らかくして苗の活着遅れを防ぐとともに、追肥量・追肥開始時期の早期化により、初期生育を対照区と同等にすることができる(表1)。
  3. 畝連続利用区の4年目の収量は、1作目が8.7t/10a、2作目が4.1t/10aであり、対照の8.8t/10a、4.4t/10aとほぼ同等の収量となる(表2)。
  4. 畝連続利用区は、準備に要する時間が38.8時間/10a片付けに要する時間が32.0時間/10aであり、対照区の28%、41%の作業時間となる。また、総作業時間は対照に比べ25%削減される(表3)。
  5. 土壌断面の土壌硬度(ち密度)が深さ10〜20cmまでの作土層では畝連続利用区が高いが、それ以降の深さでは対照と同等となる。土壌孔隙率は、深さ10〜20cmまでの作土層では畝連続利用区が低いが、それ以降の深さでは対照と同等となる(図2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 対象土壌は、畑地(花こう岩を母材とする中粗粒褐色森林土)とする。
  2. 畝連続利用栽培では、定植前にバーク堆肥を畝上部に8t/10a施用し、土壌の物理性を改善する必要がある。
  3. 不耕起栽培体系は、労力及び圃場面積の関係で夏秋キュウリを1作しか栽培できていなかった農家への導入に適している。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名夏秋キュウリ不耕起栽培技術開発
予算区分県単
研究期間2002〜2005年度
研究担当者松本英樹、大森誉紀

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