[成果情報名]

採種タマネギ花球の除湿乾燥と発芽率

[要約]  採種タマネギ花球の除湿乾燥特性は、乾燥初期は急激に含水率が低下する減率乾燥で、その後はほぼ 恒率乾燥となる。乾燥湿度は低いほど乾燥速度が高く、乾燥初期に影響が大きい。また、発芽率維持には 開花後30日以降の収穫が望ましく、それより前に収穫する場合は設定湿度を低くしない。
[キーワード] 採種タマネギ、除湿乾燥、平均乾減率、発芽率
[担当] 香川農試・農業機械担当
[連絡先] 電話087-889-1121、電子メールjv2521@pref.kagawa.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・農業環境工学
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 採種タマネギの慣行乾燥は、吊り小屋での自然乾燥であるため、不慮の高温多湿により子実品質が 低下する問題がみられていた。このため、花球部のみの収穫を前提とする低温除湿乾燥施設が現地栽培農家に 試験導入されたところであるが、除湿乾燥における乾燥特性や発芽率への影響が不明であった。
 そこで、恒温恒湿機により採種タマネギ花球の収穫時期別、乾燥湿度別の乾燥特性とそれら乾燥条件が 子実品質に及ぼす影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 採種タマネギ花球の除湿乾燥特性は、乾燥開始後減率乾燥で経過し、その後はほぼ恒率乾燥である。 例えば、開花後28日の花球を温度35℃、湿度60%の条件で乾燥目標水分を30%とすれば、乾燥開始36時間 経過後からの恒率乾燥速度から乾燥所要時間が推定できる。
  2. 減率乾燥期間における乾燥速度は、乾燥温度が一定の場合、湿度が低いほど乾燥速度が速い。また、 開花後の日数を経るほど速くなる(表1)。
  3. 開花後日数が30日より前の発芽率は低く、30日以降では安定して高い (表2図2)。
  4. 開花後30日以前の花球を温度一定で除湿乾燥する場合、湿度50%より70%の方が乾燥速度が遅く 発芽率低下を軽減できる(表2図2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は、乾燥むらを無視できる程度に風量比(被乾燥物質量に対する送風量)が大きい条件 (60m3/s・100kg)での結果であるため、現場の除湿乾燥施設では設定湿度を70%以下にして蒸れを 回避する。
  2. 1品種の結果であるため、他の品種への適用には慣行収穫・乾燥法と整合性を確認する必要がある。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 種子乾燥システムの開発
予算区分 受託(高度化事業)
研究期間 2004〜2006年
研究担当者 白井英治、西田剛、山浦浩二

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