[成果情報名]

砂地畑ニンジン栽培における省力で環境負荷の少ない施肥法

[要約] 砂地畑ニンジン栽培において、基肥に被覆肥料を施用し、追肥を有機入り化成肥料で1回行うことにより、4回追肥を行う慣行に比べて減肥が可能で、省力化が図られるとともに、窒素の溶脱も抑制できる。
[キーワード] 被覆肥料、省力、減肥、窒素溶脱、砂質土壌、ニンジン
[担当] 岡山農総セ・農試・化学研究室
[連絡先] 電話 086-955-0532
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(土壌)
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 砂地畑ニンジン栽培では、多灌水であるため、窒素が溶脱しやすく、施肥窒素による地下水汚染が懸念される。そこで、被覆肥料を用いることで追肥回数を削減するとともに、地下への窒素の溶脱を減少させ、環境負荷の少ない施肥法を確立する。
[成果の内容・特徴]
  1. 2003〜2005年度に、LP・IB等の肥効調節型肥料を用いて全量基肥で栽培すると、追肥を4回行う慣行栽培に比べてやや減収し、年次間変動も大きくなる(図1)。これは、栽培期間中に気温が低下していく作型において、生育最盛期の10月中下旬以後の肥効が、肥効調節型肥料を用いた全量基肥では不安定であることが原因である。なお、基肥施用後、20日程度はニンジンの生育量は小さいが、慣行栽培では、この期間高い肥効パターンを示しているため、窒素の溶脱が多くなると考えられる(図2)。
  2. 施肥してから20日程度で溶出を開始するシグモイド型の被覆肥料であるLPS60を基肥に施用し、有機入り化成肥料を追肥で1回施用すると(LPS区、2006年度)、4回追肥を行う慣行区に比べて、ほぼ同等の収量を得ることが可能である(表1)。また、LPS区は、慣行区に比べて7%程度肥料代を削減できる。
  3. 深さ55cmにおける土壌溶液中の硝酸態窒素濃度は、栽培期間を通して慣行区に比べてLPS区で低く推移し、窒素の溶脱を抑制できる(図2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は、砂質土壌で実施した結果である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 農作物のカドミウム汚染リスク低減化技術の確立
予算区分 国補
研究期間 2003〜2006年度
研究担当者 朝木隆行、荒木卓久、伊藤淳次、角 治夫

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