[成果情報名]

トマトかいよう病菌選択培地CMM培地を用いた種子検定法

[要約] トマトかいよう病菌選択培地CMM培地を用いると、施設栽培での全身感染株から採種したミニトマト種子よりトマトかいよう病菌(Clavibacter michiganensis subsp. michiganensis)を検出することが可能である。
[キーワード] トマトかいよう病、種子検定、CMM培地
[担当] 和歌山農総セ・農試・環境部
[連絡先] 電話 0736-64-2300
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]
 トマトかいよう病は、種子伝染する細菌性病害である。本病の防除には健全種子の確保が不可欠であり、種子の検査態勢の強化が望まれる。そこで、選択培地としてCMM培地を用いた種子検定を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. CMM培地(Alvarez and Kaneshiro, 1999、表1)を用いると、施設栽培での全身感染株から採種した2001年産(採種5年後)および2006年産(採種6か月後)のミニトマト種子からかいよう病菌が検出される(表2)。
  2. リン酸バッファー(PBT:pH7.4、0.07M、0.02%Tween20添加)12mlにミニトマト種子2.4g(約2000粒)を4℃で一晩浸漬後、ストマッカーでホモジナイズした抽出液をCMM培地に塗布して、26℃で4〜5日間培養する。
  3. 菌液をCMM培地に塗布後、26℃で5日間の培養でコロニーの直径が3mm程度となり、黄色、正円形、平滑、ドーム状の特徴的なコロニーを形成する(図1)。
  4. 普通寒天培地を100としたときのCMM培地の計数効率は57である。
  5. 少量のロットからの検出法として、ジルコニアビーズを入れたセイフロックチューブに種子100粒とPBT200μlを入れ、4℃で一晩静置した後にレッチェ製のミキサーミルで15回/秒で30秒間処理し(表3)、この抽出液100μlをCMM培地に塗布し、26℃で4〜5日間培養する。
  6. 5の方法を用いると種子1粒からでもかいよう病菌の検出が可能である。種子1粒に対し、PBT200μlを用いる。上記2006年産種子100粒について1粒ずつ検定すると、40粒からかいよう病菌が検出され、1粒当りの菌密度の平均は4.5cfuである。
[成果の活用面・留意点]
  1. 扁平な黄色のコロニーが出現することがあるので、対照菌株を塗布し、形状を比較する。また、特異抗血清を用いて確認するのが望ましい。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 生産安定のための病害虫緊急防除対策
予算区分 県単
研究期間 2005〜2007年度
研究担当者 大谷洋子、岡本晃久、増田吉彦

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