[成果情報名]

タバココナジラミバイオタイプB、QによるTYLCVの感染拡大能力の比較

[要約] 施設トマト栽培におけるタバココナジラミバイオタイプBおよびQの短距離移動分散能力はほぼ同等であり、それらが媒介するトマト黄化葉巻病(TYLCV)の空間的感染拡大能力もほぼ同等である。
[キーワード] タバココナジラミ、バイオタイプB、バイオタイプQ、TYLCV、移動、分散
[担当] 広島総研・農技セ・生産環境研究部
[連絡先] 電話 082-429-2590
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]
 タバココナジラミバイオタイプQはトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)を媒介し、かつ、薬剤抵抗性が発達しているため、施設トマトを中心に全国で問題となっている。施設内における本病の時間・空間的な拡がりを把握することは、本病を効果的に防除するために重要である。そこで、バイオタイプQ媒介によるTYLCVの空間的感染拡大能力をバイオタイプBと比較する。
[成果の内容・特徴]
  1. 広島県で採集したタバココナジラミバイオタイプBおよびQ個体群のTYLCV媒介効率はそれぞれ95.2%および81.8%であり、両区間に有意差は認められず、同等の媒介能力を示す(データ省略)。
  2. 隔離ガラス温室で栽培したトマトで中央の発病株に各バイオタイプのタバココナジラミ成虫を放飼し、ウイルスを吸汁獲得後、自由に周囲の健全株へ移動分散させると、移動個体割合、m*/m(空間分布の集中度を表す指数)にバイオタイプB、Q間で有意差は認められない(図1)。また、移動距離も両バイオタイプ間で有意差が認められない(図3)。
  3. タバココナジラミの移動分散と媒介の結果引き起こされるTYLCVの発病株率にバイオタイプBおよびQ間で有意差は認められず(図2)、発病株の空間分布も両バイオタイプ間で類似している(図4)。
  4. 以上のことから、施設トマトにおけるタバココナジラミバイオタイプBおよびQの短距離移動分散の様相は類似しており、移動分散に伴うTYLCVの空間的な感染拡大能力はほぼ同等である。
[成果の活用面・留意点]
  1. タバココナジラミバイオタイプB、Qともに、株あたり数頭程度の寄生で高いTYLCVの発病を引き起こすため、目合いの小さい防虫ネットの設置など、徹底した低密度管理が必要である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 病害虫発生予察等事業
予算区分 国補
研究期間 2007年度
研究担当者 松浦昌平、星野 滋
発表論文等 Matsuura S. and Hoshino S. (2008) Phytoparasitica 36 (1): 42-51

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