[成果情報名]

レンゲの生育安定化技術と地上部保有窒素量の推定による減化学肥料水稲栽培技術

[要約] レンゲの生育を安定化し雑草を抑制するためには、前年の水稲収穫後秋起こしを行い耕転砕土後に播種を行うことが有効である。またレンゲの占有率から植物体地上部窒素保有量が予測可能であり、水稲の減化学肥料栽培が可能になる。
[キーワード] レンゲ、窒素、秋起こし、雑草、水稲、減化学肥料栽培
[担当] 大阪農総研・食の安全研究部・防除土壌グループ
[連絡先] 電話 072-958-6551
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(土壌)
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 水稲の減化学肥料栽培では、緑肥(レンゲ)の導入も有効である。しかし、レンゲの生育は不安定で、雑草が繁茂するほ場も多く見られる。レンゲの肥料効果を期待し、大阪エコ農産物のような化学肥料の施用量を減らした特別栽培農産物などの施肥管理に活用するためには、レンゲの生育安定化技術が必要である。
[成果の内容・特徴]
  1. すきこみ前のレンゲの平均の窒素含有率は3.1%(乾物)であり、レンゲの占有率(全植物体中のレンゲの割合)からレンゲ地上部保有窒素量を予測可能である(図1)。
  2. レンゲの占有率と雑草の生育量の間には負の相関関係があり、砂質土壌を除いてはレンゲの占有率は秋起こしを行ったほ場で高く、雑草の生育量は低い傾向がある(図2)。
  3. 秋起こしを行ったほ場でも、荒起こしのみではレンゲの占有率は50%以下になる場合もあり(図2)、砕土を行うことが望まれる。
  4. 生育不良であったほ場(レンゲの収量ほぼ0t/10a)において、水稲収穫後(10月中旬)に耕起砕土したところ、翌年4月下旬に3.8t/10aのレンゲ収量が得られ、秋起こしが有効である(データ示さず、なお2006年11月中旬に降水量が少なかった以外は、両年間に目立った気象の違いはなし)。
  5. レンゲの生育に合わせて化学肥料の施用量を減じた水稲栽培を行ったところ、レンゲ占有率が50%を越えるほ場では例年並みの収量が得られる(表1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. レンゲ栽培は水稲の減化学肥料栽培において有効である。ただし、レンゲの占有率が低いほ場では、CN比の高い雑草のすき込み量も多くなる。
  2. 調査は2007年に行った。
  3. 調査地域における水稲品種は、ほとんどヒノヒカリであり、レンゲのすき込みは開花最盛期の5月上旬、移植は5月下旬、収穫は10月上旬である地域における事例である。また、レンゲの播種は毎年行っている(10月下旬〜11月上旬)。
  4. 調査地土壌の可給態窒素量(リン酸緩衝液抽出)の範囲は、1.1〜7.6mg/100gと低めである。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 「近畿地域の水稲の環境負荷低減技術の体系化と負荷予測モデル開発」および「高度土作り技術確立推進事業」
予算区分 受託および府単
研究期間 2005〜2007年度
研究担当者 佐野修司、岡 邦廣(中部農の普及課)、内山知二

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