[成果情報名]

二人作業用の広幅レシプロ式草刈機

[要約] 管理作業道を設置した法面を前提とする二人作業用の広幅レシプロ式草刈機である。刃幅約1.2m、質量20kg未満のソリ付きで、本機両側を支持しながら歩行することで草刈りを行う。作業時間は刈払機の約3分の1となり、法面管理作業の効率化が図られる。
[キーワード] 草刈機、二人作業用、法面、管理作業道、効率化
[担当] 鳥取県農業試験場・水田基盤研究室
[連絡先] 電話 0857-53-0721
[区分] 近畿中国四国農業・農業環境工学
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 中山間地等の水田の高低差の大きい法面の草刈り管理作業には多労を要している。このような法面での草刈り等の省力・軽労化を図るために、その足場となる管理作業道を造成する技術が開発されている。しかし、刈払機による草刈り作業では大幅な効率化を実現することは困難である。また、一人作業では疎外感・疲労感が大きい。
 そこで、この管理作業道を設置した法面で効率的に作業が行える二人作業用の高能率で安価な草刈機の開発を行う。
[成果の内容・特徴]
  1. 開発した広幅レシプロ式草刈機は、二人作業を基本とするソリ付きの刈り幅約120cmの可搬式草刈機である(図1)。質量は18kg弱であり、作業者一人でも持ち運ぶことが可能である(表1)。
  2. 刈刃の両端下に設けたソリにより刈り高さを一定に保ちながら草刈り作業面を滑らせることができる。法面に設置した作業道を作業者が機械を支持しながら移動することで草刈り作業が行える。
  3. 刈刃の前方上位にブロア(兼フライホイール)からのエアーを送り出す多数の吹き出し口をもち、このエアーにより刈り草を後方へ倒し込むしくみとなっている(図1)。
  4. 草高80cm程度のチガヤ群落でも刈り取りが可能で、通常の膝下程度の草高であれば作業者の歩行速度に同調した作業が行える。作業道設置法面での作業は1分当たり約25m2と刈払機の約3倍であり、効率的な作業が実現できる(図2)。
  5. 100m2あたり(のべ4回)の草刈り作業時間は、移動・休憩、集草・持出時間を含めても2.0時間(1.0時間×2人)で、刈払機と比較して労働費が少なくてすむことから、機械利用経費の増嵩分を十分相殺できる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 管理作業道を設置した法面で利用する草刈機である。
  2. 作業道の設置等については平成18年度近畿中国四国農業成果情報「水田法面管理作業の省力・軽労化のための簡易作業道造成法」を参照のこと。
  3. 作業道を設置した法面の草刈り作業のみならず、平坦地(休耕田、公園、空き地)などでも利用が可能である。
  4. 市販および市販価格については未定である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 中山間地域の畦畔法面の省力的植生管理システムの開発
(県単課題名;水田の畦畔法面管理作業の省力・軽労化技術の確立)
予算区分 高度化事業(県単)
研究期間 2005〜2007年度(県単2004〜2007年度)
研究担当者 三谷誠次郎、三原正司、大西久雄(潟jッカリ)、亀井雅浩(近中四農研)
発表論文等 1)三谷(2007)農業機械学会誌、69(5):25-26
2)鳥取県(2006)「草刈機」特許出願2006-323651

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