[成果情報名]

高香気性の根こぶ病抵抗性ヒロシマナ新品種候補「CR広島2号(仮称)」

[要約] 「CR広島2号」は、根こぶ病抵抗性を有する従来品種「CR広島1号」と産地の在来系統との交雑育種により育成した根こぶ病抵抗性品種で、「CR広島1号」と比べて約2倍の香気成分量を有する。
[キーワード] アブラナ科、ヒロシマナ、高香気性、根こぶ病抵抗性、品種育成
[担当] 広島総研・農技セ・栽培技術研究部
[連絡先] 電話 082-429-3066
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 ヒロシマナの産地では根こぶ病が問題となっている。本県では根こぶ病抵抗性品種「CR広島1号」を育成したが、この品種の食味は在来系統と同等であるものの、漬物加工後の香りが弱い。そこで、「CR広島1号」と在来系統との交雑育種により、根こぶ病抵抗性で香りの強い品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
  1. 「CR広島2号」は、「CR広島1号」と広島県内の在来系統との交雑由来系統から系統選抜法、母系集団選抜法により育成した固定品種(2007年12月品種登録出願 出願番号第21801号)である(図1)。根こぶ病抵抗性についてはセルトレイ底面給液法による幼苗検定と根こぶ病常発圃場での栽培試験により選抜を行い、香気成分についてはガスクロマトグラフィーで測定して、在来系統並みの香気成分量を有する系統を選抜した。
  2. 形態は、市販品種と比べて草丈、葉長がやや短く、葉肉が厚い(表1)。
  3. 根こぶ病抵抗性は、根こぶ病常発圃場での栽培結果から判断して、「CR広島1号」と同程度である(表1)。
  4. 主要香気成分(3−ブテニルイソチオシアネートおよび4−ペンテニルイソチオシアネート)は、「CR広島1号」の約2倍量である(図2)。
  5. 漬物加工後の食味評価においては、「CR広島1号」と比べて香り、うまみ、総合での評価が高い(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 「CR広島2号」は根こぶ病の真性抵抗性品種であるため、根こぶ病常発地域で新規に栽培する場合は、前もって地域の根こぶ病菌に対する抵抗性を確認する。
  2. 根こぶ病の発生地域では、圃場の排水性を良くし、直播きを避けるなどの耕種的防除法を組み合わせる。
  3. 平成20年の秋作から種苗業者を通じて、県内および県外のヒロシマナ栽培地域に種子の供給を開始する予定。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 高香気性根こぶ病抵抗性ヒロシマナの育成
予算区分 委託プロ(ブラニチ6系)
研究期間 2002〜2005年度
研究担当者 重本直樹、甲村浩之、渡邊弥生、松下修司、塩田 俊

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