[成果情報名]

飼料タンク内の温湿度に及ぼす飼料タンク用換気装置の影響

[要約] 飼料タンク内の換気を目的とした飼料タンク用換気装置(特願2006−082704)を、飼料タンク上部の飼料投与口に設置する。その結果、飼料タンク内の温湿度上昇の低減が図れる。
[キーワード] 飼料タンク、飼料タンク用換気装置、温湿度上昇の低減
[担当] 香川畜試・酪農・肉牛担当
[連絡先] 電話 087-898-1511
[区分] 近畿中国四国農業・畜産草地
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 配合飼料は、畜舎周辺の屋外に設置された飼料タンクに一時保管されるが、飼料タンク内の温湿度は、外気温の影響を受け変動する。配合飼料は、熱や湿度などにより変質が起こりやすく、酸化や変敗などによる品質の劣化が大きい。そこで、飼料タンク内の温湿度上昇の低減を図るために、飼料タンク用換気装置(図1)を考案し、その効果に関する試験を行う。
[成果の内容・特徴]
 飼料タンク内の温湿度は、外気温の影響を受け変動し、配合飼料は熱や湿度などにより品質の劣化が起き、ビタミンAの減少、カビの発生、粗脂肪の減少等が報告されている。
 今回、既存の容量3tの飼料タンク(従来型タンク)と同型タンクに飼料タンク用換気装置を設置した換気式タンクを並列に並べ、それぞれに配合飼料1tを貯蔵し、タンク内(上部および中部)の温度・湿度および外気温・湿度を1時間毎に5日間測定し比較検討する。
  1. 外気温とタンク内の温度は表1のとおりである。従来型タンクの上部、中部および換気式タンクの上部の平均温度はいずれも外気温と比較して有意に高く(P<0.05)、中でも従来型タンク上部は著しく高い。しかし、外気温と換気式タンク中部との間には有意差が認められない。
  2. 外湿度とタンク内の湿度は表2のとおりである。従来型タンクの上部、中部および換気扇タンクの中部の平均湿度は外湿度と比較して有意に高い(P<0.05)。しかし、換気扇タンクの上部と外湿度との間には有意差が認められない。
  3. 外気とタンク内の容積絶対湿度の平均は表3のとおりである。従来型タンクの上部、中部および換気式タンク中部の平均容積絶対湿度はいずれも外気と比較して有意に高い(P<0.05)。しかし、換気式タンク上部は有意差が認められない。
  4. 換気式タンクの容積絶対湿度は、従来型タンクより低く(表3)、換気により平衡状態に近づいたと推察される。
[成果の活用面・留意点]
  1. 従来型タンク上部と中部の温度は外気温と比べて高く、また、中部の湿度は外湿度より高く、従来型タンクは高温多湿となっている。
  2. 換気式タンクは、従来型タンクに比較し、温度と湿度の上昇を抑制している。
  3. 飼料タンクに換気装置を設置することで、タンク内温度上昇の抑制、湿度上昇の低減につながり、タンク内配合飼料貯蔵環境の改善の一助となることが期待される。
  4. 飼料タンク用換気装置は、現在、外観を改良されて市販されている。
    市販価格65,000円(消費税込み、取付費は別途料金)

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 飼料タンク内の温湿度に及ぼす換気の影響
予算区分 県単
研究期間 2004〜2006年度
研究担当者 高橋和裕、田中 隆、中嶋哲治、谷原礼論、大谷徳寿、橋本和博、渡邉朋子
発表論文等 1)高橋ら(2007)日本家畜管理学会報,43(3):147-153.
2)高橋ら(2007)香川県畜産試験場研究報告42号
3)高橋(2006)「飼料タンク用換気装置およびそれを取り付けた飼料タンク」特許出願2006−082704

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