[成果情報名] | ミツバ立枯病防除のための種子温湯消毒 |
[要約] | 養液栽培におけるミツバ立枯病の防除には、乾燥種子を「時間(分)=-1.1158×温度(℃)+65.806」(45.7℃〜59.6℃の温度範囲で有効)の温度・時間条件で温湯処理するのが有効である。 |
[キーワード] | ミツバ、種子、立枯病、Rhizoctonia solani、温湯消毒 |
[担当] | 大阪農総研・食の安全研究部・防除土壌グループ |
[連絡先] | 電話 072-958-6551 |
[区分] | 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫) |
[分類] | 技術・普及 |
ミツバ立枯病(Rhizoctonia solani)は養液栽培の苗床でしばしば発生する。本病は種子に付着する菌核や菌糸が主な伝染源であるため、防除には種子消毒が効果的であるが、登録農薬がないため、無病の種子を入手するか入念に洗浄する以外に有効な防除法がない。近年の減農薬農産物の要求の高まりに応えるため大阪府ではエコ農産物の認証を進めているが、ミツバでも農薬を使わない病害防除法として温湯を利用した種子消毒技術について検討する。
1.ミツバ立枯病は種子の購入単位によって発生率に大きな違いがある(表1)。
2.ミツバ種子の温湯消毒は、図1の方法に準じて乾燥種子に温湯処理を行い、その後、水洗して播種する方法が推奨される。
3.温湯処理の温度と時間の増加に伴って立枯病防除効果は向上するが、種子発芽率は低下する傾向がある(表2)。
4.立枯病が発生しない温湯処理温度と時間の関係は、45.7℃〜59.6℃の温度範囲では、時間(分)=-1.1158×温度(℃)+65.806で表される(図2)。この式より、50℃10分、46.4℃14分などの条件で温湯処理することにより立枯病の防除が可能と考えられる。
1.多量の種子を温湯処理する際には、予熱、攪拌、格納袋、恒温漕の容量等に注意を払う必要があり、さらに、温度むらやタイムラグの影響を小さくするために、処理時間の長い条件の方が実用的である。
2.本成果は乾燥種子に対する温湯処理の効果について述べたものである。水洗・浸種後の含水率が高い種子に温湯処理すると発芽率の低下が大きくなる。
3.温湯消毒は殺菌剤と違って播種後の感染を防ぐ効果はないので、播種床や養液漕、パネル、培養液等を清浄に保ち、これらからの感染に十分注意せねばならない。
[具体的データ]
[その他] | ||
研究課題名 | :研究課題名:基幹的マイナー作物の病害虫防除技術の開発 | |
予算区分 | :国補 | |
研究期間 | :2004〜2008年度 | |
研究担当者 | :瓦谷光男、瓜生恵理子、西田真子、根来淳一、岡田清嗣、中曽根渡、内山知二 |