[成果情報名]

ハクサイ軟腐病を防除する2種Lactobacillus属乳酸菌製剤

[要約]

発酵食品から分離した2種乳酸菌 Lactobacillus plantarum と “Lactobacillus kyotoensis”(新種)を供して試作した製剤は、ハクサイ軟腐病に対して既存の微生物農薬と同等の防除効果を示す。

[キーワード]

乳酸菌、微生物農薬、ハクサイ軟腐病、食の安心・安全

[担当]

京都農資セ・応用研究部

[連絡先]

電話 0774-93-3527

[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]

食の安心・安全に対する消費者ニーズが高まる中、食品の安全性について消費者が不安に感じるものの一つに「農薬」があげられる。そこで、全国で問題となっているハクサイ軟腐病を対象として、人の健康にも良い乳酸菌を使って、消費者が安心と感じて受け入れやすい微生物農薬を開発する。

[成果の内容・特徴]

1.発酵食品から分離した2種の乳酸菌SOK04BY株とSOK04SW株は、ハクサイ軟腐病の発病を抑制する。細菌学的生理生化学検査及び16s rDNA解析等の結果から、それぞれ、Lactobacillus plantarumと“Lactobacillus kyotoensis”(新種)と同定される。

2.SOK04BY株及びSOK04SW株の製剤(水和剤)を作製し、2007年に5府県6ヵ所の圃場においてそれぞれの実用性を評価した結果、いずれの多発生条件の圃場でも非病原性Erwiniaを有効成分とする既存の微生物農薬とほぼ同等の防除効果が認められる(図1)。

3.2008年に実施した3府県5ヵ所の中・多発生条件の圃場においても、これらの製剤には、2007年と同様に実用的な防除効果が確認される(図2)。

4.以上のように、Lactobacillus plantarum SOK04BY株と“Lactobacillus kyotoensis” SOK04SW株を供して試作した製剤は既存の微生物農薬とほぼ同等の防除効果を示すことから、有用な微生物農薬として期待できる。

[成果の活用面・留意点]

1.乳酸菌製剤の工業的製造方法を開発し、それにより作製された製剤の実用性を評価する必要がある。

2.微生物農薬として登録申請する予定である。

[具体的データ]

 

[その他]
研究課題名 : 人の健康に有益な乳酸菌を使った世界初の微生物農薬を開発する
予算区分 : 高度化事業、府単
研究期間 : 2005〜2008年  
研究担当者 : 津田和久、東山みや子、辻元人(京府大)、久保康之(京府大) 梅村賢司(明治製菓(株))、三冨正明(明治製菓(株))

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