[成果情報名]

水稲疎植栽培のための育苗箱全量施肥における育苗法

[要約]

育苗箱全量施肥法において従来困難とされた多量施用(約1,500g/箱)が肥料位置を床土上から床土下に変えることで可能となる。これにより疎植栽培(条間30cm×株間30cm、移植箱数9〜10箱/10a)に必要な窒素量が施用できる。

[キーワード]

育苗箱全量施肥法、疎植栽培、被覆尿素肥料、苗箱まかせ

[担当]

鳥取農総研・農試・環境研究室、作物研究室

[連絡先]

電話 0857-53-0721

[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(土壌)
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

資材費等の高騰に加え米価の安値販売が続く中、大規模農家を中心に普及が進む育苗箱全量施肥栽培でコストを低減できる疎植栽培との組み合わせ技術が求められている。しかし、従来の育苗箱方法では施肥量が1kg/箱を超えると生育ムラが起こるため、疎植栽培には適応が難しいと考えられていた。そこで一箱当たりの施肥上限量を増やす試みを行い、疎植栽培への適応が可能であるかについて検討を行った。

[成果の内容・特徴]

1.育苗箱全量施肥において肥料を層状に多量(約1,500g/箱)施用した場合、肥料位置が従来の床土上(図1で覆土→種籾→専用肥料→床土の順)では苗に生育ムラが見られるが、床土下にすることで解消する(図1A表1)。

2.肥料を床土下に多量に施用した場合、マット強度は慣行に比べ弱くなるが実用上支障はなく、生育は慣行に比べ葉色が濃くなるなどの特徴を持つ(表1図1B)。

3.育苗箱全量施肥でコシヒカリの疎植栽培(条間30cm×株間30cm)を行った場合(以下、苗箱疎植と略)の生育は、育苗箱全量施肥法での慣行栽培(以下苗箱慣行)と比べ、茎数・穂数が少なく、葉色が濃く推移する(表2)。

4.苗箱疎植の収量は苗箱慣行と変わらない。収量構成要素は面積当たりの籾数は同等だが穂数が少なく、一穂籾数が多くなる。等級に差は認められない(表3)。

5.苗箱疎植と苗箱慣行の生育、収量、品質の上記特徴は苗箱まかせを用いない通常の疎植栽培と慣行栽培の特徴と類似する(表2表3)。

[成果の活用面・留意点]

1.専用肥料が1550g/箱で正常に苗が生育することを確認しているが、この量を超える検討は行っていない。

2.育苗箱全量施肥法では育苗箱内の水分保持量が低下するので水分不足に注意する。

3.専用の施肥播種機で床土下に施肥しても肥料の飛び散り等の問題は見られない。

4.リン酸、加里の施用は土壌診断に基づき適正量を施用する。

5.本情報は鳥取県農業試験場(鳥取市橋本、灰色低地土)で苗箱まかせ(N400-100)を用いて得られたデータである。

6.箱施薬剤は、箱当たり施薬量を遵守する。疎植栽培では面積当たりの箱施薬量が少なくなるので病害虫の発生状況により本田防除が必要な場合がある。

[具体的データ]

 

[その他]
研究課題名 : 自立できる水田農業の収益性向上を支える技術開発事業
予算区分 : 県単
研究期間 : 2007年〜2008年度
 
研究担当者 : 坂東 悟、金川健祐、小林勝志

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