[成果情報名] | 外来魚粕の窒素無機化特性と有機質肥料としての有効利用 |
[要約] | 報名]外来魚粕の窒素無機化特性と有機質肥料としての有効利用 |
[キーワード] | 外来魚魚粕、水稲、ホウレンソウ、有機質肥料、無機化速度 |
[担当] | 滋賀農技セ・環境研究部・環境保全担当 |
[連絡先] | 電話 0748-46-2500 |
[区分] | 近畿中国四国農業・生産環境(土壌) |
[分類] | 技術・参考 |
琵琶湖等の湖沼では、固有種等の生態系保全を目的に外来魚(ブラックバス、ブルーギル)の駆除が行われる事例が増えている。滋賀県では捕獲された外来魚は、そのまま破砕後に乾燥処理され、その有効利用が模索されているが、資源循環を進める観点からも有機質肥料としての利活用が期待されている。そこで、水稲栽培における基肥や穂肥への利用、低温期の肥効促進が求められる秋冬期の露地軟弱野菜栽培への利用について検討する。
1. 外来魚を減圧して加熱攪拌し乾燥・粉砕した魚粕肥料(以下、「外来魚粕肥料」という)の組成は、窒素11%、リン酸7%、加里1.7%であり、フェザーミールに近い窒素含有量を有し、かつリン酸含有率も高く、有機質肥料としての利用価値が高い(表1)。
2. 湛水条件下における窒素無機化の室内実験(密栓培養法)を行った結果、外来魚粕肥料は低温条件下(20℃)でも7日目までに約50%が無機化し、一般の有機質肥料と比べて分解が早い。また、窒素無機化の特性値を計算すると、一般の魚粕に比べて可分解性有機態窒素量(N0) および無機化速度定数(k)の値が大きく、速効性の有機質肥料としての特徴を有する(表1、図1)。
3. 水稲栽培において、培養瓶をほ場に埋設して外来魚粕肥料の窒素無機化を調査したところ、基肥の場合には4週間後までに約60%が無機化し、また穂肥の場合には最初の3日間で約60%が無機化しており、穂肥としても活用が期待できる(データ略)。
4. 外来魚粕肥料の供給が不安定なことや、また加里成分が少ない成分上の欠点を補うため、外来魚粕肥料を他の有機質肥料などとブレンドした粒状複合肥料を試作し、水稲栽培への基肥や穂肥の利用を検討したところ、市販の有機複合肥料で栽培した場合と同等の収量と施肥窒素利用率が確保できる(表2)。
5. 秋冬野菜露地栽培においても、外来魚粕肥料をブレンドした有機態窒素5割の肥料を基肥と追肥に施用することにより、慣行と同程度以上の収量が確保できる。また施肥窒素利用率も慣行と同程度である(表3)。
1. 外来魚捕獲量は、夏期にブルーギルが多く、冬期ブラックバスが多い傾向がある。また成分面では加里が少ないことがあり、外来魚粕単体でなく他の肥料等との複合肥料として成分的にも安定させ、生産現場に流通させる等の工夫が必要である。本試験では県内の肥料メーカーの協力を得ている。加里が少ないことから牛糞堆肥が施用されているような加里含量の高いほ場に適している。
2. 秋冬野菜への利用について、本試験での平均地温(深さ10cm)は11月中旬まで15℃前後、11月下旬〜12月下旬は5〜10℃、1月以降は2〜5℃である。
[具体的データ]
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[その他] | ||
研究課題名 | :
有機物を活用した環境こだわり農業のための土壌施肥管理技術 |
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予算区分 | : 県単および受託(研究高度化事業) | |
研究期間 | :
2006〜2007年度 |
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研究担当者 | : 園田敬太郎、蓮川博之、今井清之、山田善彦、柴原藤善 |