[成果情報名] | スギ、ヒノキ樹皮粉砕繊維の鉄処理培地を利用したイチゴ高設栽培
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[要約] | イチゴの高設栽培に新鮮なスギ・ヒノキ樹皮粉砕繊維を培地として用いる場合、鉄処理を行うとピートモスと同程度の生育、収量が得られる。培地資材費は、慣行のピートモスに比べて約1/4である。 |
[キーワード] | 鉄処理、スギ、ヒノキ、樹皮粉砕繊維、イチゴ、高設栽培 |
[担当] | 和歌山農総セ・農試・環境部 |
[連絡先] | 電話 0736-64-2300 |
[区分] | 近畿中国四国農業・生産環境(土壌) |
[分類] | 技術・参考 |
林産資源の豊富な和歌山県において、スギ、ヒノキ樹皮は、産業廃棄物として多量に排出されており、その有効利用が課題となっている。また、新鮮な樹皮を野外放置しておくと生育阻害要因が除去されるが、長期に堆積場所を要する。そこで、生育阻害要因の除去に鉄処理が有効なことから、新鮮な樹皮粉砕繊維(以下樹皮)の鉄処理によるイチゴ高設栽培の培地利用について検討する。
1.樹皮の鉄処理は、硫酸第一鉄500倍水溶液10Lに、新鮮な樹皮40Lを30〜60分浸漬して行う。
2.イチゴの生育は、スギ、ヒノキともに新鮮な樹皮培地では、ピートモスに比べて劣る。しかし、鉄処理を行った樹皮培地は新鮮な樹皮培地に比べて優れ、ヒノキ−鉄培地は1年野外放置した樹皮培地やピートモス培地とほぼ同等である(表1)。
3.収量も同様に、鉄処理した樹皮培地で多くなり、ヒノキ樹皮では、1年野外放置した樹皮培地やピートモス培地と同等の収量が得られる(図1)。
4.イチゴ高設栽培の培地資材費は、鉄処理樹皮がピートモスに比べて、約1/4である(表2)。
1.スギ、ヒノキの樹皮は、ピートモスに比べて繊維が荒く、大きな孔隙が多いことから乾燥しやすい。特にスギ樹皮は、ヒノキ樹皮よりも繊維が荒く、培地表面が乾燥するので、副資材を混合して孔隙間を埋める等、定植後から生育初期における培地の水分管理に注意する。
2.樹皮の鉄処理による生育阻害要因の除去については、平成18年度近畿中国四国農業研究成果情報p.83「スギ、ヒノキ樹皮粉砕繊維の鉄処理による生育阻害要因の除去技術」を参照。
3.鉄処理用資材として、硫酸第一鉄や塩化第二鉄等の中性水溶液は、樹皮が黒変し生育阻害物質除去の効果が認められるが、EDTA鉄等の酸性水溶液は効果が認められない。
[具体的データ]
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[その他] | ||
研究課題名 | :
スギ、ヒノキ樹皮粉砕繊維の農業利用 |
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予算区分 | : 県単 | |
研究期間 | :
2005〜2007年度 |
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研究担当者 | : 久田紀夫、森下年起、林 恭弘 |