[成果情報名] | 牛糞堆肥に硫安を加えて成型したぺレット堆肥による化学肥料リン酸・カリの節減
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[要約] | 牛糞堆肥に硫安を加えて窒素成分を調整したペレット牛糞堆肥を用いれば、いくつかの作物において、0.5t〜2t/10aを基肥として施用するだけで化成肥料による標準施肥栽培と同等の収量が得られる。化学肥料由来のリン酸・カリの散布が省略できる。 |
[キーワード] | 硫安、牛糞堆肥、ペレット、化学肥料由来リン酸・カリ |
[担当] | 愛媛農研・環境保全室 |
[連絡先] | 電話 089-993-2020 |
[区分] | 近畿中国四国農業・生産環境(土壌) |
[分類] | 技術及び行政・参考 |
近年、肥料価格が上昇しており、特にリン酸及びカリ肥料の高騰が著しい。十分発酵させた牛糞堆肥にはリン酸やカリが多く含まれている。牛糞堆肥に含まれる窒素は分解が遅く、植物が肥料として利用するには窒素成分だけを付加すれば、この堆肥を散布するだけで植物に必要な肥料成分がまかなえ、同時に肥料散布作業の省略も可能となる。さらに、牛糞堆肥を成型することで水分含量が低下し、ほ場への散布量も少なくてすむ。
そこで、牛糞堆肥に硫安を加えて肥料成分を調整し成型したペレット牛糞堆肥(以下硫安ペレット堆肥)を用いて、全量基肥施用による化学肥料由来のリン酸・カリの散布を省略した栽培の効果を実証する。
1.硫安ペレット堆肥の製造では、牛糞堆肥と硫安をよく混合し、予備乾燥後、ペレタイザーで成型し、仕上げ乾燥する(図1)。窒素成分が約4%のペレット堆肥を作るには、牛糞堆肥14.4tに硫安1tを混合し、水分を16%程度に乾燥させる。油粕等を混合して製造する成分調整堆肥と比べ、原料に占める牛糞堆肥の割合が9割以上と高い。
2.硫安ペレット堆肥の水分は16%で、原料牛糞堆肥の水分57%の約4分の1程度である(表1)。このため、ペレット堆肥1t施用は、原料牛糞堆肥2tの有機物等固形分を施用することと同じであり、硫安ペレット堆肥の施用だけで肥料と堆肥の両方をワンタッチで施用することができる。
3.窒素含量4%に調整した硫安ペレット堆肥を、スイカ、キャベツでは1t/10a、コマツナでは2t/10a、タマネギ、ホウレンソウ、ソラマメでは0.5t/10aをそれぞれ基肥時に施用することで、化成肥料を用いた標準施肥栽培並みの収量が得られる。夏レタスでは窒素過多で減収になりやすいので施用量を少なくする。スイートコーンでは全量基肥は過繁茂となるので分施が必要である。夏秋ナスでは4.6t/10a、水稲では0.6t/10aでよい(図2)。
1.硫安ペレット堆肥を製造するには、乾燥撹拌施設とペレタイザーが必要である。
2.牛糞堆肥に硫安または尿素を添加したところ、3週後のアンモニア揮散量は硫安添加で少なかったことから硫安を添加した。尿素は安く入手できる場合があるので、あらかじめ混合する牛糞に尿素や硫安を添加し、その時のアンモニアの揮散状況を考慮し添加する窒素肥料を決める必要がある。
3.硫安ペレット堆肥は特殊肥料としては販売できないので、販売する場合は、今のところ、現在ある普通肥料の規格に準じて仮登録することとなる。
[具体的データ]
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[その他] | ||
研究課題名 | :
高成分堆肥開発試験
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予算区分 | : 県単 | |
研究期間 | :
2006〜2008年度
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研究担当者 | : 大森誉紀 |