[成果情報名] | キャベツ肥料制限苗によるシカ被害防止効果と作業性の向上
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[要約] | キャベツの肥料制限苗は定植直後のシカによる被害が軽減できることから、侵入防止柵の設置を定植作業後に行える。常設柵に比べ、耕起や定植時の作業性が良くなるとともに圃場全体が有効に利用できる。 |
[キーワード] | シカ、キャベツ、肥料制限苗、作業性、侵入防止柵、被害防止 |
[担当] | 奈良農総セ・高原振セ・営農技術チ−ム |
[連絡先] | 電話 0745-82-2340 |
[区分] | 近畿中国四国農業・生産環境(鳥獣害) |
[分類] | 技術・参考 |
野生鳥獣の被害発生地域において、キャベツの肥料制限苗を利用することで定植直後の野生鳥獣による被害が回避できれば、侵入防止柵(以下、柵)の設置を定植後に行うことが可能となり、恒常柵で問題となる圃場準備や定植時の作業性の低下や栽植株数の減少が回避できる。そこで、キャベツ肥料制限苗の定植直後の被害軽減効果と補植苗の生産性、柵設置の有無が作業性と栽植株数に及ぼす影響を明らかにする。
1.定植直後のシカによる食害や踏害(踏まれる被害)の発生株率は、慣行苗に比べて肥料制限苗で少ない(表1)。定植時の草丈や最大葉長が、慣行苗に比べて肥料制限苗で小さい(表1)ことが、肥料制限苗で被害が少なかった要因の一つと考えられる。
2.圃場準備や定植時の機械稼働時間は、柵設置圃場に比べて柵無設置圃場で明らかに少ない。また、栽植株数は、柵設置圃場に比べて柵無設置圃場で多い(表2)。よって、定植後に柵を設置することで、圃場準備や定植時の作業性が向上し、栽植株数も確保できる。
3.キャベツの秋冬作型において、肥料制限苗では、全重や結球重は慣行苗に比べてほぼ同程度である(表3)。
4.肥料制限苗を5日後に補植すると、全重や結球重は小さくなる。この傾向は1〜2株の欠株場所への補植、すなわち当初定植苗が隣接する場合に著しい(表4)。
1.定植後、速やかに柵を設置する。
2.柵越し被害を受けないように注意する。
3.肥料制限苗は、長期間の育苗が可能であるが、定植時期に応じて品種を選択すること、慣行苗に比べてやや生育が遅延すること等を考慮する。また、秋冬作型では、定植が遅れるほど収穫が大幅に遅れる傾向がある。
4.欠株発生時、速やかに補植し、液肥施用等で生育を促進することが望ましい。
[具体的データ]
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[その他] | ||
研究課題名 | :
鳥獣被害を受けにくい野菜栽培管理技術の開発
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予算区分 | : 実用技術 | |
研究期間 | :
2007〜2008年度 |
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研究担当者 | : 安川人央、中野智彦 |