[成果情報名]

水稲ヒコバエの生育およびニホンジカによる採食状況

[要約]

ニホンジカによる水稲ヒコバエの採食は、ヒコバエの分げつが旺盛になる頃から始まり、分げつ終期には急激に増加し、茎葉が枯死するとともに終息する。また、滋賀県におけるコシヒカリのヒコバエでは、最高約2t/10aの生体量が認められる。

[キーワード]

水稲、ヒコバエ、ニホンジカ、採食

[担当]

滋賀農技セ・栽培・湖北分場

[連絡先]

電話 0749-82-2079

[区分]

近畿中国四国農業・生産環境(鳥獣害)

[分類]

技術・参考


[背景・ねらい]

ニホンジカ(以後、「シカ」とよぶ)等の野生獣による農作物被害は、人の利用しない植物が農地に残り、それを野生獣がエサと認識することにより助長することが知られている。なかでも、水稲収穫後に再生してくる株(以後、「ヒコバエ」とよぶ)は、里の餌場価値を上げている可能性が指摘されているが、その実態はよくわかっていない。そこで、ヒコバエの生育とシカによるヒコバエの採食実態を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1.ヒコバエの生育の推移は、コシヒカリの9月中旬収穫では、9月下旬に分げつを始め、10月上旬から旺盛となり、10月下旬には分げつ終期となってほとんどの株で出穂する(図1)。

2.ヒコバエのシカによる採食の推移は、コシヒカリの9月中旬収穫の場合、9月下旬での食痕はなく、10月上旬から採食が始まり、10月下旬には急激に増加して11月にピークとなる(図2)。また、12月に入ると新たな食痕は認められない(データ略)。

3.県内6か所でのヒコバエ生体重は、コシヒカリの9月上旬収穫の場合、0.2〜2t/10aである(表1)。

[成果の活用面・留意点]

1.本調査結果は、ヒコバエが野生獣のエサ源になっていることを啓発する資料として活用できる。

2.本調査は滋賀県における標準的なコシヒカリの栽培体系により実施した結果であり、ヒコバエの生育等は地域や年次によって異なる可能性がある。

3.ヒコバエのシカによる採食終期は、茎葉が完全に枯死する頃(滋賀県の北部で12月上旬)と推察される。

4.本調査では、イノシシの糞や足跡が水田内に散見されたことから、ヒコバエはイノシシにも採食されている可能性がある。また、サルが枯れた穂を採食している目撃例もあり、ヒコバエは多獣種のエサとなっている可能性が高い。

5.ヒコバエの処理方法の一つとして秋耕を行うことが考えられ、その場合の処理時期は、コシヒカリの9月上中旬収穫であれば、10月下旬までに秋耕することが目安となるが、秋耕後の畑地雑草の発生やヒコバエの生育状況などを勘案して、それぞれの地域で適期を判断することが望ましい。

[具体的データ]

 
 

 

[その他]
研究課題名 : 営農管理的アプローチによる鳥獣害防止技術の開発
予算区分 : 実用技術
研究期間 : 2007〜2008年度
 
研究担当者 : 森 茂之、山中成元、高畑正人

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