[成果情報名]

土壌硬化資材散布と畦塗りの一工程同時作業による畦畔形状維持方法

[要約]

石膏が主成分の硬化資材を散布しながら畦塗り機で畦畔を一工程同時作業で形成する方法である。資材の施用量は100m当たり30kg、資材費が4,000円程度で、水稲栽培期間中における畦畔の浸食、崩落が防止できる。

[キーワード] 畦畔、石膏資材、畦塗り、一工程作業、形状維持
[担当] 兵庫農総セ・農技セ・作物経営機械部
[連絡先] 電話 0790-47-2410
[区分] 近畿中国四国農業・農業環境工学
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

近年、水稲栽培において畦畔からの漏水を防ぐために畦塗り機を用いた作業が普及している。その形状維持を図るために、マグネシア系資材やモルタル資材を用いることが多いが、多量に施用する必要があることやアルカリ性資材のための弊害が生じている。そこで、酸度が中性の石膏資材を用いて、施用量が少なくて比較的安価で施工できる資材を検討するとともに、一工程で資材散布と畦塗りを同時に作業する方法の開発を行う。

[成果の内容・特徴]

1.畦塗り機を装着したトラクタの前部に粉剤散布機を取り付けて、畦塗りする面に硬化資材を散布した直後に畦塗り作業を行う(図1)。資材の施用量が多いほど硬度は高まる(図2)。実用面から資材量は100m当たり30kgを基準とし、作業速度は慣行の畦塗り作業に準ずる。

2.標準散布口に肥料袋などで風除けの散布筒を取り付けることで、散布精度が高まる。

3.硬化剤散布により、降雨による浸食や湛水期間中の畦畔側面からの崩落が防止できる。石膏が主成分なので畦畔植生の回復が早いが、畦畔の形状は植生回復とともに収穫終了まで維持される。施工した部分の硬度は土壌によって異なるが、主に土壌表面が硬化することによって形状が保たれる(図3)。

4.資材費は100m当たり4,000円程度である。

[成果の活用面・留意点]

1.施工時の土壌水分は、従来からの畦塗り作業に適した水分に準ずる。

2.粘土含量が極端に低い土壌では、効果が劣る恐れがある。

3.雨天等の湿度が高い条件では、粉剤散布機による硬化剤の散布量にばらつきが生じる恐れがあるため、一工程同時作業は望ましくない。

4.資材が中性で畦畔植生の回復が早いため、土壌硬化による抑草効果は見込めない。

5.施工時の土壌に雑草残渣等が混入すると形状の劣化が早まるため、あらかじめ、施工箇所は刈り払いや早期から除草剤を使用して裸地状態にしておく。

[具体的データ]

 

[その他]
研究課題名 : 不耕起水稲栽培における畦塗り機等を活用した漏水対策技術の開発
予算区分 : 県単(一部担い手プロ)
研究期間 : 2007〜2008年度  
研究担当者 : 牛尾昭浩、松本 功

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