[成果情報名]

アスパラガス「母茎地際押し倒し法」における収穫作業の作業性評価

[要約] アスパラガス全期立茎栽培において、母茎とする若茎を畝の奥へ地際から押し倒して母茎を列状に 立茎させる「母茎地際押し倒し法」は収穫作業時間の短縮及び収穫動作時の“ただちに改善すべき作業姿勢” の出現割合の減少に有効である。
[キーワード] アスパラガス、収穫、母茎、立茎栽培、効率化、軽労化、作業姿勢
[担当] 広島総技研・農技セ・栽培技術研究部
[連絡先] 電話082-429-3066
[区分] 中国四国農業・農業環境工学・野菜
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 アスパラガス全期立茎栽培の収穫作業は、垂れ下がった側枝をかき分け、母茎群落内にもぐり込む 中腰姿勢を強いられている。そこで、母茎の立茎位置と若茎の萌芽位置を分離し、収穫する若茎の視別を 容易にする「母茎地際押し倒し法(平成18年度近畿中国四国農業研究成果情報、図1、特開2008-220330)」 が収穫作業時間の短縮及び作業姿勢に及ぼす効果について明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 母茎地際押し倒し法により、収穫作業時間が約18%短縮される(表1)。
  2. もぐり込み収穫の必要な若茎の割合は、慣行区で約77%であるのに対し、母茎地際押し倒し区では 約14%に減少する(表2図1)。
  3. 慣行区の収穫動作時では、早期に改善すべき姿勢(AC3)が68.7%、ただちに改善すべき姿勢 (AC4)が20.5%である。母茎地際押し倒し区では、AC3が79.7%、AC4が8.1%とAC4が減少し、 AC3が増加する。移動動作時の作業姿勢は、慣行区および母茎地際押し倒し区共に、AC2が約90%で、 AC3およびAC4は2.3%以下である(表2)。
  4. 以上の結果から、アスパラガス母茎地際押し倒し法は収穫作業時間の短縮及び収穫動作時における “ただちに改善すべき作業姿勢”の出現割合の減少に有効である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 「母茎地際押し倒し法」の具体的な方法については、平成18年の成果情報「アスパラガス若茎を 地際に押し倒して立茎させる誘引法」を参照する。
  2. 本栽培法では隣り合う2畝の母茎を向かい合わせに押し倒すため、母茎群落が込み合い、受光量が 低下する。これにより、慣行に比べて収量が約10%減少する。
  3. 本実験は、品種「ウェルカム」を用いた結果である。
  4. 更なる作業姿勢の改善のために、立ち姿での収穫を目指した新たな器具の開発が必要である。
  5. 本栽培法は特許申請を行っているので、実施に当たっては連絡が必要である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 アスパラガス母茎地際押し倒し法の施設栽培における現地実証と誘引資材の改良
予算区分 県単
研究期間 2009年度
研究担当者 坂本隆行、越智資泰
発表論文等 坂本ら「アスパラガスの若茎の誘引法およびそれに用いる誘引具」 特開2008-220330

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