[成果情報名]

根域制限栽培での日射比例かん水制御による高糖度トマトの多収技術

[要約] 根域制限栽培におけるトマトの促成栽培において、日射比例制御での蒸発散量に対応した自動かん水に より、糖度8以上の高糖度トマトの多収生産が可能である。
[キーワード] 高糖度トマト、根域制限栽培、日射比例かん水制御、蒸発散量、シート埋設機
[担当] 高知農技セ・作物園芸課・施設野菜担当、営農システム担当
[連絡先] 電話088-863-4918
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 防根透水シートを利用した根域制限栽培は、地床栽培に比べて土壌水分制御が容易なことから、高糖度 トマト産地での導入が進んでいる。しかし、かん水管理には客観的な指標がなく、生産者間や年度間で 収量・品質の格差を生じている。そこで、「日射比例かん水制御装置」を利用した栽培技術を検討することで、 高糖度トマトの多収生産技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
  1. 根域制限栽培床の形状は、幅45cm、深さ20cmとする(データ略)。
  2. 栽植密度は、うね幅135cm、株間15cm(4,938株/10a)とする(データ略)。
  3. 定植約2週間後からのかん水方法は、蒸発散量との相関の高い積算日射量を指標とする日射比例制御での 点滴かん水とし、1回のかん水量は100mL/株とする(図1)。
  4. かん水開始となるハウス内積算日射量およびかん水時間帯の生育時期別設定値は、表1を基準とする。
  5. 基肥を窒素成分で2.03g/株(10kg/10a)とした場合、追肥は、第2花房開花期から窒素成分で日量 38mg/株(0.19kg/10a)をかん水と同時に施用する(表2)。
  6. 上記の技術を組み合わせることで、高糖度トマト(糖度8以上)の多収生産が可能である(表3)。
  7. 本技術を導入することで、種苗費、肥料費、減価償却費(日射比例かん水制御装置と防根透水シート 埋設機)および雇用労働費が増加し、経営費は13%増加するが、販売額が増加し、粗収益が49%増加 することで、180万円/10a程度の所得向上が見込まれると試算される(データ略)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 根域制限栽培床の作製には、防根透水シート埋設機(ヤンマー(株))を用い、「桃太郎ファイト」を8月 中旬に72穴セルトレイへ播種後、9月上旬に定植し、主枝1本つる下げ誘引仕立てで6月末まで栽培して 得られた結果である。
  2. 日射比例かん水制御装置の基準設定値(表1)は、圃場条件の違い(光条件、土壌条件など)に 合わせて、加減が必要である。また、かん水ムラが生じる場合には、1回のかん水量を200mL/株とし、 ハウス内積算日射量の設定を表1の2倍とする。
  3. 日射比例かん水制御装置および防根透水シート埋設機についての詳細な情報は、下記参照。
    http://www.nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp/kikan/kenkyu/se/home/shingijyutsu/h19/1907.pdf
    http://www.nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp/kikan/kenkyu/se/home/shingijyutsu/h19/1906.pdf

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 高糖度トマトの根域制限栽培におけるシート埋設の省力化および高品質生産技術の確立
予算区分 県単
研究期間 2006〜2008年度
研究担当者 新田益男、玖波井邦昭、小松秀雄、福井淑子、澁谷和子
発表論文等 1)新田ら(2008)高知農技セ研報、17:33-42
2)新田ら「シート敷設作業機」特許出願2004-324184
3)新田ら(2009)高知農技セ研報、18:31-38

目次へ戻る