[成果情報名]

成型畝を利用したイチゴ不耕起養液土耕栽培技術

[要約] 硬質樹脂製U字溝を用いたイチゴ成型畝栽培に不耕起養液土耕栽培技術を導入することで、より良好な 生育が可能であり3年間連用した場合でも生育阻害は見られない。液肥に大塚養液土耕1号を使用したところ、 さちのかでは1,200倍の濃度で果実収量が良好である。自動施肥灌水が可能で複数年間畝立てが不要であり作業の 省力化に有効である。
[キーワード] イチゴ、不耕起栽培、養液土耕、省力化
[担当] 徳島農総セ・農研・野菜園芸担当、生産環境担当
[連絡先] 電話088-674-1660
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 県内イチゴ栽培は大半が土耕によるものであるが、栽培期間中、畝が崩れやすく、終始中腰での作業が 続くことから、産地からは土耕栽培での軽労働化が求められている。そこで、既存の硬質樹脂製U字溝を用い、 畝を崩さず長期連用栽培できる技術を開発する。さらに養液土耕栽培技術を組み合わせ、適正な栽植方法や 施肥灌水方法を明らかにすることで、安定的に連用栽培を可能にする。
[成果の内容・特徴]
  1. 本栽培技術は、土耕栽培畝の通路部分に硬質樹脂製U字溝を設置し、畝を成型化した状態(成型畝)で イチゴを栽培するもので(図1)、これにより通路部分の通行、 作業性が向上するとともに、畝が崩れることなく栽培できる。
  2. 成型畝における栽植密度は、慣行栽培法と同様、畝幅140pの内成り、株間23pでの定植が適する (データ省略)。
  3. 成型畝での肥培管理は、養液土耕により毎日株元に少量の施肥灌水を行うと、生育良好となり、 慣行施肥区よりも果実収量が多い。また、養液土耕の施肥濃度は、1,200倍で果実収量が 良好である(表1)。
  4. 成型畝の連用は、養液土耕施肥を組み合わせた不耕起栽培で収量の低下が見られない。また、 不耕起栽培後の土壌硬度は、耕起栽培と比べ有意な差は見られない(表2図2)。果実収量も 連用による遜色は見られない(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本試験で取り入れた養液土耕システムは、液肥混入機、電磁弁、減圧弁、タイマー、原液タンクで 構成され、液肥混入機で養液原液を希釈後、圧力ポンプで送水し、点滴灌水チューブから株元に 一定量の液肥を自動給液するものである。
  2. 初期コストは、硬質樹脂製U字溝で10a当たり約120万円のほか、養液土耕システム導入費(約80万円) が必要である。
  3. 連用試験の成果は、3年目までで得たデータを元としている。
  4. 本試験ほ場の土質は植壌土であり、現地ほ場への導入に際し、土質や化学性を十分考慮の上、現地向け 施肥マニュアル等の施肥設計を立てる必要がある。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 ブランドイチゴの硬質樹脂成形畝を用いた不耕起養液土耕栽培技術の開発
予算区分 県単
研究期間 2006〜2008年度
研究担当者 前田典子、山下ルミ、北岡祥治、黒田康文、板東一宏

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