[成果情報名]

アスパラガス株養成苗を連作圃場へ定植した場合の増収及び株枯れ低減効果

[要約] 水田土とモミガラを混合した培地へアスパラガスの購入苗を仮植し、約1年間養成した後、アスパラガス 連作圃場へ定植すると、定植2年目以降3.3t/10a以上の正品収量が得られ、L以上の本数割合は、購入苗を 定植した場合よりも高く、株枯れは少ない。
[キーワード] アスパラガス、培地、養成、連作圃場、収量、株枯れ
[担当] 愛媛農水研・栽培開発室
[連絡先] 電話089-993-2020
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 愛媛県のアスパラガス産地は、西条市を中心にハウス半促成長期どり栽培が約32ha普及しているが、 定植後10数年以上経過し、収量が低下して改植時期を迎えている圃場が多い。しかし、慣行のように購入苗を そのまま定植しても株枯れが発生することが多く、その対策に苦慮している。そこで、購入苗よりも生育 ステージの進んだ養成苗を定植した場合の生産性や枯死率を比較する。
[成果の内容・特徴]
  1. 購入苗を養成する場合は、根域制限した隔離ベッド内に水田土(砂壌土)とモミガラを体積比で1:1に 混合した培地(以下、「田土モミガラ混合培地」)を約40L/株充填して仮植する。その後の肥培管理及び 水管理は、通常の養液土耕栽培で行う。
  2. 養成から6ヶ月経過した時点での苗の生育状況は、草丈約160cm、茎数約19本/株、最大茎径約7mmと なる(表1)。なお、購入苗は、草丈30〜35cm、茎数4〜7本/株、茎径1mmの大きさである。
  3. 約1年間養成した後に掘り上げ、アスパラガス連作圃場へ定植した場合の正品収量は、本圃定植後2年目で 330 kg/a程度、定植3年目で370 kg/a程度と、購入苗をそのまま連作圃場へ定植する場合よりも 約8%多くなる。また、L以上の本数割合は、本圃定植後3年目までで見ると、購入苗を定植した場合より も19〜25%高い(表2)。
  4. 枯死株率は、田土モミガラ混合培地で1年間養成した苗を定植する方が、購入苗を定植する場合よりも 約13%低い(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 購入苗を隔離ベッドで養成する場合は、培地を充填する木枠や根域制限シート等の資材が必要である。
  2. 田土モミガラ混合培地は、重量が重く、充填に労力がかかり、養成した苗を連作圃場へ定植する場合は、 株の抜き取りや根の切断等調製作業に労力がかかるので、一連の省力低コスト株養成技術の開発が必要である。
  3. 田土モミガラ混合培地の代わりに、バーク堆肥モミガラ混合培地を使うと、重量は田土モミガラ混合培地の 1/3程度と軽くなるが、本圃定植後の収量、品質、株生存率は、田土モミガラ混合培地よりも劣る。
  4. 連作圃場への定植時期は、7月のみのデータである。
  5. 連作圃場への定植方法は、前作の株を掘り上げて持ち出してロータリ耕うんし、前作と同じ所へうねを 立てて行った場合のデータである。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 アスパラガス改植障害対策技術の確立
予算区分 県単
研究期間 2006〜2009年度
研究担当者 河内博文、戸井康雄

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