農林業の持つ環境保全機能の総合的分級・図示手法の開発

[要約]
農林業の持つ環境保全機能総合的分級・評価に必要なデータを地理情報システム上に構築し、管理水準を考慮した土地利用区分一単位毎に評価を行い、等高線や土地利用区分等の地理情報と共に出力・作図する体系を開発した。
四国農業試験場・地域基盤研究部・基盤整備研究室
[連絡先]0877-62-2345
[部会名]傾斜地農業
[専門]環境保全
[対象]農業工学
[分類]行政

[背景・ねらい]
中山間地帯の過疎化・高齢化により、農業生産活動の低下による耕作放棄や農林地の管理粗放化が著しく進行している。このことは急傾斜地の多い中山間地帯において、農林業の持つ環境保全機能に悪影響を与え、下流域を含めた国土保全機能に低下を来す可能性が高い。そこで、地理情報システム上に農林業の持つ環境保全機能の総合的分級・評価に必要なデータを構築し、管理水準を考慮した土地利用区分一単位毎に評価を行い、等高線や土地利用区分等の地理情報と共に出力・作図する体系を開発した。
[成果の内容・特徴]
  1. 本手法は、地理情報システム上で、土地管理度合、土壌侵食量予測、及び斜面崩壊危険度予測の評価と共に、農林業の持つ環境保全機能の総合的分級・評価に必要なデータの構築から評価図表示・作図までの一連のデータ構築・処理の体系である(図1)。この体系に基づき、地理情報システムによる環境評価システムの構築が出来る。
  2. 管理水準を考慮した土地利用区分一単位毎に評価を行うための体系であり、従来のメッシュ単位の環境保全機能評価手法に対し、自然立地的環境単位と社会的条件をより反映した評価が可能である。
  3. 地理情報システム上での体系であるので、地域資源や防災情報等などの地域データベースヘの組込・拡張が容易である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 環境評価システムの構築対象地域における管理水準を考慮した土地利用区分一単位に適用可能な土地管理度合、土壌侵食量予測、及び斜面崩壊危険度予測の評価式が必要である。

 [その他]
 
研究課題名:環境保全機能の総合的分級・図示手法の開発
予算区分  :特別研究「中山間保全」
研究期間  :平成6年度(平成5〜6年度)
研究担当者:吉迫 宏・高橋弘江・三浦 覚・遅沢省子・山本 博・石田憲治
発表論文等:なし
 
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